イマジンカイザー

1917 命をかけた伝令のイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.5
ワンカット『風』の映像は芸術点狙いやハッタリではなく、塹壕という狭苦しい空間に閉じ込められた兵らの閉塞感。この戦争が及ぼしたおぞましい光景。そしてそれらを踏まえたクライマックスの画の迫力を下支えする意味でもバッチリ効いていて、成る程これは映画館で観る映画だなと。

主人公たちが目覚めるところからはじまり、思わず目を覆いたくなるシーンも、死の間際も、敵の襲撃からの逃亡など、カットを割って感情や動きを見せたいところも、全部ひとつのカメラで追う(体の)展開は、魅せ方やシーンの組み立ての巧さもあって飽きなくダレなく観られました。ここは絶対割った方が楽に撮影できるだろうに、それでも舐め回すように180度レンズを回すようなシーン造りは大変だっただろうなあ。

逆に、宣伝に反して一箇所だけ演出と尺の都合上、仕方なく暗転する場面があるのですが、続く展開と残り時間を考えれば、そこで怒るひとはいないはず。

四年前にアカデミー賞を撮ったこれに近い映画、バードマンのワンカットでもだいぶ驚かされたものですが、こちらはそこに戦場の陰鬱さ、使命の為最前線真っ只中を駆け抜ける怖さと高揚感を推してきて、ワンカット(風)も日々進化するものなのだなあと驚くばかり。

没入感を高めるためにも大スクリーンで、さうでなければ真ん中くらいのスクリーンを全部見渡せる場所で鑑賞することをおすすめします。