ぺりこ

1917 命をかけた伝令のぺりこのネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ついに楽しみにしていた私の中でのアカデミー賞作品賞の1917を鑑賞することが出来た。元々戦争映画には興味があるせいか、今期一番楽しみにしすぎて待ち遠しかった。全編ワンカット風撮影と言う今まで見たことの無い撮影にも期待特大で臨む。

戦争映画は悲しい話しかないのだが、やはりこの作品も想像通りの残酷さと悲壮感が詰まった作品だった。

撮影方法がワンカット風との事で序盤は繋ぎ目がないかを探してみてしまっていたが、途中でストーリーに引き込まれてついつい自動で断念してしまった。カメラワークが変わった瞬間や、建物が入り込んだ瞬間にカメラの切り替えがあったのかな位で、特に気になるような部分はなかったかなと感じた。

若き兵隊のスコとトムは前線で戦う兵への交戦中止情報を伝える為、命懸けで走り抜ける。冷静に物事を対処するスコは勿論、不安しかなく命令とはいえ消極的。一方、前線の隊で戦う兄のいるトムは一刻も早く伝える為に急く。この2人の気持ちが対照的過ぎて、どちらの思いもすごくよく分かる。

伝令を伝えに向かう中、様々なトラップがあり怪我をし、死にかけながらも二人は進んで行く。途中で立ち寄った廃屋で見た桜の木があり、トムが桜の品種に詳しく懐かしく語るシーンが切ない。
空激戦で墜落した敵ヘリに乗っていた一人の兵士を救助したがトムが殺されてしまうと言う衝撃。序盤での爆発でスコの死が見えていたのにトムが死んでしまうとは。
トムが死んでからのスコは彼の意思を継ぎ、伝令を届ける為に突き進む。今までは二人で乗り越えてきたものも、一人で対処せねばならない。辛いことだがそんな感情は表に一切出さずに進んで行く。目的地への道のりで川に流されてしまうスコだが、そこで見たものは桜の花びらたち。まるで亡くなったトムが後押ししてくれている様で、共に闘ってくれているようで、ただただ泣ける。
最終的に辿り着いた前線で伝令を伝えたあと、トムの兄ジョセフ中尉に弟の死を伝えるシーンがとても辛くて切ない。本当に仲が良かったのだろう、ジョセフの悲しげな演技で涙する。

本作は戦争映画だから悲しいストーリーと言うだけでなく、ワンカット風撮影と言う技法で戦争の壮絶感が色濃くされている、新しい映画を見た様なそんな気分になる作品でした。監督のサム・メンデス、凄い。

スコ達が歩んでいく途中で出てくる、大御所俳優がチョイ役で出ていて楽しめた。伝令を伝える司令を出すエリンモア将軍にコリン・ファース、途中馬車に相乗りさせてくれるスミス太尉、伝令を届ける先のマッケンジー大佐のベネディクト・カンバーバッチと錚々たるメンツ。どれも声の張りが他の役者と違いすぎてチョイ役なのに溢れる存在感が凄い、笑
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