くまくま

1917 命をかけた伝令のくまくまのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.0
 物語自体は敵地を走り抜け、重要な命令を友軍に届けるというシンプルなもの。
ストーリーよりも1人の兵士が見て、体験したことを緊張感を持って同じ目線で追体験できる事に価値があるのではと思った。

 映像・カメラワーク・音響の素晴らしさはさすが。
曇り空、塹壕、汚泥、ネズミ…グレーに染まった景色が戦場には絶望しかないのだという事を思い知らされる。
 現実の戦争に英雄なんて存在しない。
目を背けたくなる負傷者、野ざらしの死体や軍馬。
人助けという日常なら尊ばれる行為ですら、戦場では己の命を失う結果になってしまう。
 その中でスコフィールド上等兵が目的地である前線を目指す際に立ち寄った廃墟と化した村にいた女性と赤ちゃんに貴重な食料とミルクが入った水筒を手渡す場面は彼の人間性や尊厳が失われていない事に胸が締め付けられた。

 ベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングがさり気なく脇を固めている贅沢さはポイント高し。
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