皿男

1917 命をかけた伝令の皿男のネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

私自身、カメラで写真をよく撮る。映像を撮ることはまず無いが、ファインダーを覗くこの習慣が、ワンカット=没入感の方程式から自分を遠ざけている原因かなと思った。

通常のカット映像と違い、移動を伴うワンカット映画はどうしても構図が動くので、その動きがカメラの存在を際立たせてしまう。
そのカメラの存在について、『カメラを止めるな!』のようなメタ的表現が成立していたり、ある登場人物からの目線というような解釈が成立すれば気にならなくなるが、この映画にはそれは適用出来ない。
そうなると、アイドルのグラビア撮影で頑張るカメラマンや、自撮り棒片手にセルフィー動画に熱心なInstagramerのように思えてしまい、しかしそこは戦場なはず、セット美術や映像はとてもリアルな戦場と見えるのに、どうしても興ざめしてしまう。

そして、我々観客は、前もってワンカットという制約を教えられてしまっている為に、スコ一人になって以降のストーリーとして、どうしても「結局まぁどーにかなるんでしょ」という結末ありきの見方になってしまい、敵に追われても大丈夫、滝に落ちても大丈夫と、中盤以降ちょっとだれてしまった。「結局レイさんが勝つんでしょ」感に終始したスターウォーズEP9感というか…。サムメンデスを夜明け呼ばわりは流石に怒られるか。

しかしながら、
中盤の山場のあのシーンや、終盤の引きの圧巻のあのシーンのように、はっきりド派手な見せ場を前の場面との連続性の中であのように見られるというのはとても驚愕の映像体験でした。

長回しの妙は味わいつつ、全編ワンカットという命題に引っ張られ過ぎているかなという印象です。
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