ワンカット映像に何を期待したかで評価が変りそうだなと思った。
撤退後の敵地を駆けて伝令を届けに行く話なので、それほど派手なことは起こらない。
その代わりに主人公たちの困惑と孤独がクローズアップされ、観客も本人たちも色々な意味で「どうなるんかなあこれ…」という不安を抱えながら話が進んでいく。
戦場の真ん中ではあるが戦闘中というわけではなく、静かで穏やかな時も流れる。美しい景色など幻想的ともいえる雰囲気になると何かが起きて敵地にいる現実に引き戻されるという緩急が続き、戦争状態は日常と狂気の狭間にあるんだなというのはひしひしと感じられた。
……というふうに、緊張の高まるシーンも一歩引いて冷静になってしまった箇所が多かった。
登場人物の周囲を回るような神様目線のカメラワークも多く、没入感はあっても臨場感には欠けるかもしれない。（これは音響に依る所があるかも…）
頭の中でセットを想像し、こう動いてんのかなーと考えると凄い。感心する。メイキングが観たい。でも見ながらそんなことを思うくらいには冷静になってしまう。
それが良いのか悪いのかは、前述したように、観客がこの映画に何を期待したかで変わるだろう。
ゴア表現は徹底的に抑えてあり、制作の強い意思を感じる。
画面内の構図が絵画的で、冗長なはずのワンカット移動シーン（しかも一人！）も飽きずにいられるのはすごい。
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塹壕のシーンはなんの映画でも大好きなので、たくさん見られて良かったです。
散々予告映像で見てきたあの全力疾走のシーン、ストーリーを通して彼の道程を考えるとグッとくるものがありました。
家族や故郷のことを話さなかったスコフィールドのラストシーン。ようやく彼と一つになれた気がしました。お疲れ様。
普通の2D映画館でみましたが、これはIMAXとか4DXでみたらまた違ったのかなーと今更思う…！
映画技法、コンセプトともに希代の一作である事は確かです。
ワンカット映像という特性上、地上波で放送される事はまずないし、あっても同じ体験はできないでしょうから、映画館で見ることができただけでも良かったです(^^)
