千利休

1917 命をかけた伝令の千利休のレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.2
〈形式としての戦争、これはゲームの世界〉
テン年代の終わりに戦争映画を作るとしたらどのようなものを作るべきなのか。戦争の凄惨さを描くものは「プライベート・ライアン」で20年前に完成されているし、戦争映画のフレッシュな個性派としては「ダンケルク」や「ハクソー・リッジ」が記憶に新しい。さぁどうするべきか。サム・メンデス監督の回答はずばり、戦争を形式として映画にすることだった。そんな本作である、主人公に感情移入するような観賞だと確かに本作はそこまで楽しめないと思う。でもこの実験は明らかに観ているだけで楽しい。どちらかというとゲームをやっているような感覚、その、"次のセクションの予想がつかないドキドキ感"は中毒そのものである。ぶっちゃけサム・メンデス監督は戦争映画をどのように描くかに対して、そこまでの熱意を持ってなかったと思う。だからこそ、この無機質で爆薬の匂いのしないゲームの世界がかくも上手に形成されたのだ。
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