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ユ・ヨルの音楽アルバムのhorryのレビュー・感想・評価

ユ・ヨルの音楽アルバム(2019年製作の映画)
5.0
恋愛映画は苦手なんだけれど、これはめっちゃよかった。
スマホを誰でも持っていて、いつでも連絡を取り合える、でも、何をやってるかすぐに相手に分かることでかえって大切な人と揉めたりするのが今の時代。この映画で描かれてる90年代は、連絡がとれなくなって人間関係が終わることもたくさんあった。
メディア媒体の変化でコミュニケーションや記憶のあり方(デジタルカメラ出現という話題が作中にも登場する)も変わる。その一方、変わらないものもあって、映画ではその媒体としてラジオが取り上げられている。
ラジオでリスナーの投書が読み上げられることは稀で、そのうえ、その言葉を聞いて欲しいと思っている相手が聞いている確率はもっと稀。このラジオの不自由さと、ミスとヒョヌの抱える不自由さがとてもよく合っている。
何重もの“奇跡”という古典的なモチーフと、ラジオというメディアの掛け合わせがよくて、それを過剰なタイプではないチョンヘインとキムゴウンが演じていたのもマッチしていた。

どんどん変わっていくメディアや社会や町と、それに順応していながらも変わらないものを抱えている人(ミスとヒョンだけでなく)を描いた、美しい作品でした。
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