Omizu

マーティン・エデンのOmizuのレビュー・感想・評価

マーティン・エデン(2019年製作の映画)
3.4
【第76回ヴェネツィア映画祭 男優賞】
『ジョーカー』を抑えて男優賞を獲得した作品。19世紀が舞台のジャック・ロンドンの小説を20世紀のイタリアに置き換え映画化した。

とっても素敵な作品だと思う。でもあまり好きにはなれなかった。

主演のルカ・マリネッリの溢れ出る色気はもちろん、演技も実に大胆で素晴らしい。終盤、タバコや酒で歯もボロボロになったマーティン・エデンの姿は観ていて辛かった。

またフィルム撮影のザラッとした質感、衣装や美術も素晴らしい。

この作品は一応20世紀という設定だけど挟み込まれるドキュメンタリー的な映像は必ずしもその時代とは限らず現代の映像もあったりする。

そこが個人的には入り込めなかった要因だと思う。監督の意図としては普遍性を持たせたいということだけど、そんなことしなくても物語に普遍性があれば観客は見出すよ!と思う。格差や貧困、民主主義の限界などはまさしく現代に通じるテーマを持つ作品なのでそこまで説明しなくてもいいのに、と。

そのせいで気が散ってしまったのは事実。それより世界観を貫いて欲しかった。
Omizu

Omizu