MasterYu

オフィサー・アンド・スパイのMasterYuのレビュー・感想・評価

3.0
1894年、フランス。
ユダヤ系陸軍大尉のドレフュスが、ドイツに情報を流した罪で終身流刑となる。
陸軍大学で彼を教えていたピカール中佐は、時同じくして情報局の防諜部長に任命された。
乱れ切っていた防諜部の改革に乗り出したピカールは、ドイツ大使館の掃除婦が持ち出したゴミの中にあった一通の電報から、スパイはドレフュスではなく、別の人物である可能性に行き当たる。
ピカールの捜査はやがてドレフュスの再審へと繋がるのだが・・・。

「ドレフュス事件」と呼ばれる史実をベースにした作品。
原題の「J'accuse」は、作中にも登場する文人ゾラが、新聞紙上で大統領宛に「J'accuse(私は弾劾する)」で始まる公開質問書を発表したところからきています。

威信や権力を守りたい軍、盲目的なカトリック、反ユダヤなどの所謂「反ドレフュス派」の行動が酷すぎ。
口裏合わせた嘘証言、証拠無視、そちら側寄りの再審で、それがまかり通る時代環境は、正になんじゃこりゃ?という感じ。
最終的にドレフュスが完全に無罪となるのは1906年のことなので、終身刑の判決が下ってから10年以上掛かっているわけです。
そこで脚本の取捨選択がポイントになると思うんですが、その辺りの加減が私的には合わなかったでしょうか。
国を二分するほどの論争になったという事件なのに、私にはそこがあまり伝わってこなかったし、スッキリ痛快な史実ではないにせよ、ピカール個人に焦点を合わせすぎたからか、展開構成は特に惹きつけられる点は少なかった気が。

フライヤーにあるような「逆転劇」を味わえる感じではなかったですかね。

こんな酷い事件があったということを知る。それ以外は普通な作品という印象。
MasterYu

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