オフィサー・アンド・スパイの作品情報・感想・評価

「オフィサー・アンド・スパイ」に投稿された感想・評価

あおい

あおいの感想・評価

3.0
上映終了との事で急いで鑑賞。
ギリギリ間に合った。

オープニングがすごくて、ちゃんと作品を見届けるぞ!と背筋がピンとなった。
ただそこから段々と下がっていき「ちょっと長いなあ」と思ったり。
事件の結末も字幕で終わらしてしまうの?と脱力。
腐敗した組織…ちょうど話題にあがっていた時だった事もあって何とも言えない複雑な気持ちで劇場を後にしました。
自分の立場を危うくしてまで、社会や組織に対して自分の価値観・正義感を貫けるか?と、この手の映画を観るといつも考えさせられます。でも、ピカールの場合は、自分が愛する組織をどうしても正したい、その一心だったから貫けたんだろうと、それが地味に今まであまりないパターンだなと感じました。同じように組織を愛していたであろうアンリとの対比も切なかったです。

超個人的にはデスプラが音楽担当してると気づけなかったのが悔しい!
yukarin

yukarinの感想・評価

3.0
自分自身の出世や待遇に影響が出ても、貫く姿勢に驚く
大切な友でも、家族でも、愛する人でもない人のために

そして、かたや長いものにまかれまくって、結託して真実を暴くことを妨害する軍部にも呆れさせられるし、恐ろしい

これも実話ベースだし、実際にこの手の冤罪はたくさんあったのだろうと思うと、本当に恐ろしい

Netflixで観た「ボクらを見る目」の時もと思ったけれど、なぜ、人は、それが正しくないことでも、誰かの人生を壊してしまっても、自分の過ちを認めず、保身に走ってしまうのだろう
昔がどれだけ杜撰で差別に満ち溢れていたかが分かる映画。そんな時代の中でひとりの無実のために戦うのもすごい。
simpsons

simpsonsの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ良かった、と思ったら最後エンドロールでポランスキーなん初めて知った、どおりで…

反ユダヤ主義、冤罪、組織内隠蔽、公文書改竄、政治、裁判官腐敗、偏見から有罪を下すメディア、あらゆる問題が詰め込まれていた。
当時フランスであんなに反ユダヤ主義が蔓延していたとは知らなかった。このような偏見からくる差別はあちこちであったんだろうな。

イギリスの大学院を出た人が言ってた話を思い出した。
イギリスは移民の国で、名前で人種が分かるから、入試の時にも偏見や差別があるといけないので、名前を消して採点する話があったらしい。それだけ偏見や差別はコントロール出来ないから怖いことを自覚してのことだろう。誰しもアンコンシャスバイアスを持っている。

公文書管理問題については、
フランス革命1789年前まではアーカイブズは貴族や政府のためのものであり、公開されるものでは無かったが、フランス革命の後に初めて国民の閲覧権が保障され、民主主義を支えるアーカイブズの原点となった。
ドュレフュス事件がフランス革命後の出来事であることを考えると興味深い。
市民も真実の追求よりも、反感感情が勝ってしまってる。
偽造とか偽証とかなんでもあり。
組織の体裁と信用を守るために必死。
その中で内部告発したピカールは立派だし、後々に大臣に起用されたのはさすがフランスだと思う。
組織も国も自浄しながら発展していかなければいけない。

最後のドュレフュスが昇進の話をしに来たのは、冤罪で10年?投獄されていたおかげで他の同期たちとだいぶ差がついてしまっていたんだろう。陸軍士官学校を出たエリートだ。本来ならもっと出世しているはずが、冤罪のために出世が遅れているが、ピカールは投獄されたのに出世してる。
法律を変えないといけないというのはおそらく会社なら内規で定めているところが国家公務員なので法律で規定されていて、それが勤務年数を元に等級が決められており、但し書きで冤罪で投獄されていた期間について明記されていないためだろう(多分想定していなかったんだろう)。自分が罪を犯して投獄されていたのなら分かるが、自分の場合は冤罪で自分には何の過失も無い。それも人種差別が原因だ。しかも不法投獄を行ったのは軍法会議の裁判で自らの組織の罪だ。
でも法改正はきっと出来ないだろう、なぜならあはたはユダヤ人だから賛同は得られない、という多分ピカールの答え。ここで頑張る気はピカールにも無かった。
彼は真実を追求する正義はあるが、偏見や差別と闘う正義は無かったし、自身も反ユダヤだと述べている。
昔大学のときに先生から言われた、「あなたたちは社会に出たら、法を守るだけでなく、必要とあらば変えられる人になって下さい」という言葉を今でも覚えている。

何よりゾラが凄かった。
ゾラがこんな凄い人だったの知らなかった。ゾラの勇気と気骨に感動した。
調べてみたら、一酸化炭素中毒でパリの自宅に戻った翌日に亡くなっていて、反ドュレフュス派に煙突を詰められたという有力説もあるらしい。
敏腕弁護士も凄かった。あんな政府相手の困難なケースを楽しみながら闘えるなんて…撃たれて衝撃だった。

ゾラの本を人々が道で燃やすシーンで映った(確か)「ユダヤ人に死を」と落書きされたお店は、実際にパリにあるユダヤ人経営のパン屋にユダヤ人と落書きされた2日後に撮影されたらしい。反ユダヤ主義は今でも無くなってない。

J'accuse... !
私は弾劾する!!
94

94の感想・評価

4.0
軍隊って嫌だなあ。
ポランスキーファンに怒られそうだけど、池井戸作品バリのエンタメだと感じた。
sugar708

sugar708の感想・評価

4.4
不条理な世界でも真実だけは揺るがない。

本作を観ていて思ったのは、非常にロマン・ポランスキーらしいなと笑
この題材を描こうと思ったとき、普通の人だったら映画らしく情緒的に描いてしまうと思います。
無実の罪を着せられるドレフュス、数十年間信じてきて正にその身を捧げてきた軍に裏切られるピカール、何度叩きのめされても立ち上がり政府という巨悪に立ち向かうその姿は、ある程度の脚色をすれば「事実をもとにした…」という感動的なストーリーになったでしょう。

しかし、本作は冒頭からそれを裏切ってきます。
ピカールと友人の妻との関係性、ユダヤ人への差別感情、恐らく彼は本作の主人公的立ち位置にも関わらず、初見でピカールに好感を持てる人はいないのかなと。

それは、ドレフュスにも言える部分があり、彼は教官であったピカールに「あなただけ私の評価が低かった。私がユダヤ人だから評価を低くしたのではないか」そんなことを平然と言ってしまう。(物語のラストにも同じようなことを言ってます笑)
勿論、自身の主張をしっかり述べることは正しいことで彼に非はありません。
でも、社会という枠組みの中ではもう少し相手の立場になって伝えた方が人間関係は円滑に進むと思います。

そんな、ある意味で一癖も二癖もある2人の物語はあくまで私一個人の気持ちですが、決して感情移入出来るものではありませんでした。

ですが、本作の重要性はそこにあるのかなと。

これはドレフュス事件という歴史的事実を公平かつフラットに伝え、正しく認識させる。
そして、そのユダヤ人への差別的感情が後々のホロコーストへ繋がっていくという部分を考えさせる映画なんだと思います。

そういう意味で本作は非常に素晴らしい映画でした。

最後の「この会話を最後に2度と会うことはなかった」というのも個人的には「いる?笑」と思ってしまうのですが、彼らは好きでそうなったわけではなく、当時の社会や軍がそうさせたわけで、本来は相容れない存在だった。

《真実》だけが2人を繋ぎ、ピカールを突き動かしたのであって、そこに特別な感情や感動があってはいけない。

決して、この事件を《美談》なんかにしてはいけないのだと思います。
数年前にポランスキーがドレフュス事件を題材に映画を撮ったと聞き及び、公開を待ち侘びていたのだが、いまいち焦点がどこに置かれているのか判然としない。かつて何某の撮った映画で、あのキッチュなゴダール擬きを目の当たりにしてから、ルイ・ガレルがどうも気に食わない。ただイケてるメンズの役どころを張っていてくれればいいのにと思わないこともないが、これは傲慢な願いである。
Karen

Karenの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ドレフェス事件について、大学受験で軽くさらった程度でそこまで覚えてなかったけど、冒頭の剣がパキーンされるシーンで、教科書に載ってた絵が完全に呼び覚まされた。映像の再現度すごい。
教科書では数文でしか書いてなかったけど、一兵がフランス軍部の大きな闇を暴き、政府に立ち向かうっていう嘘みたいな史実、普通にドラマティック過ぎるんよな…。
2人が馴れ合わないラストもいい。
フランス軍のデザイン重視すぎる軍服大好き
次男

次男の感想・評価

4.1
昇進できたのは君のお蔭。
もう離婚したのなら僕らは結婚してもいい。

強い意志でフェアネスを求めて行動するピカールは、本来、偉大な英雄として描かれた方がエンターテイメントとしては描きやすいはずである。だが、作中のピカールの言動は、ドレフュスにも恋人にも真の意味ではリスペクトされないような軽薄さをも持ち合わせている。その点が、作品に絶妙な生々しさを醸し出させている。つまり、ドレフュス一人では思想的に限界があり、成し遂げられることもほんの僅かなことであるというのが、よくわかる内容になっている。
ドレフュス事件から連想される現代社会の諸問題は、常に現在進行形であり、十年一区切りで綺麗さっぱり解決する社会問題など存在しない。できるだけ多くの人が、関心のある社会問題をよく知り、議論し、継続して行動を起こす。そのようにできて初めて、蝸牛の歩みで社会をよりよく改めていくことが可能になる。それが民主主義社会の正しいあり方なのだろうと感じた。
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