ぺんじん

オフィサー・アンド・スパイのぺんじんのレビュー・感想・評価

4.1
舞台は19世紀末フランス。寒空の群衆監視の下、軍服の勲章やボタンを剥ぎ取られ、軍刀まで折られたドレフュス。スパイの真犯人の処分が決まったと思われたが、ここからフランスを二分をする大事件に発展するのだった…
この話の中心になるのはドレフュスでは無く、防諜局に新たに配属されたピカール中佐。最初はユダヤ人嫌いだったピカール中佐が、事件を追うにつれて次第に事件の真相に辿りついていくというスリルある展開になっている。
かなり史実的な描き方になるので、エンターテイメント的ではないところが好き嫌いが分かれるかも。また謎解きの鮮やかさというよりは「腐敗した組織での立ち回り、マジつらい」というようなトーンの映画なので、スッキリするような話運びではないという部分もある。まぁでも、会社とかある程度大きな組織で嫌な思いをしたことがある人には結構刺さるかも。えっ、前に言ったことと全然違くないですか⁈ええっ⁈
またヨーロッパにおける反ユダヤ主義の根深さも感じる。このユダヤ人である事の疎外性というのはロマン・ポランスキーがずっと描き続けてきた事ではある。ただポランスキーが実際に起こした事件の釈明にも見えなくもないから、そこが結構批判を浴びているのかも。
大きな組織で自分の正義を突き通す事の難しさ、そして尊さを描いた作品。日本でもミートホープ事件とかあるし、全然他人事ではない!
あと決闘シーンとかあるから結構前知識無いと難しいかとは思うけど、世界史好きな人は是非。激シブです。
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