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異端の鳥の2naのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
3.3
昨年(2020年)公開時に行けず見逃していた作品で、新文芸坐あたりで上映しないかなー、と思っていたところに今回の上映となりやっと鑑賞。
今作に限らず、名画座としての機能を持つ新文芸坐には絶妙なタイミングで扱ってくれる作品が多く、感謝しかありません。
本当にありがたいです。

で、本作「異端の鳥」原題「The Painted Bird」は、作中に出てくる色を塗られた鳥は群れの中に戻っても仲間として見られず攻撃される、という原作からきている。あの鳥の群れの撮影はどのようにして行われたのだろう。見ていて息が詰まる思いでした。
この鳥の群れに限らず、猫や犬や馬、山羊など、どう考えても難しいだろうと思われる動物演出が凄すぎて、山羊を吊るしたときの鳴き声なんてリアルすぎて嫌な気持ちになったもんね(良い意味で)。鼠の群れの穴も嫌な気持ちになったけど(純粋に気持ち悪かった)。

話としてはホロコーストの時代を背景に、本当は戦場や軍隊より、そこに住む市井の人たちの方がよっぽど恐ろしいという、実際にあったであろう虐待やジェノサイドを描いている内容で、半世紀以上前の出来事が現代にも通じてしまうという現実に空恐ろしくなりました。

ヨーロッパ映画で大作ではないにもかかわらず、ハーヴェイ・カイテルやステラン・スカルスガルドなど一部ハリウッドのベテランが出ていて、中でも自分の好きなバリー・ペッパーが出ていたのは嬉しかったね。しかもそれなりに良い役所で。
バリー・ペッパー演じるミートカがライフルを構える画は「プライベート・ライアン」を思い出してしまいニヤけてしまった。ライフルが似合いすぎていてカッコいいだもん。

全体的には暗いテーマだけど、35㎜フィルム白黒の映像は綺麗だし、テンポや編集もいいため、169分という長尺も苦にならずあっという間でした。

これを機に発禁となったイェジー・コシンスキの原作を読んでみたいと思います。