このレビューはネタバレを含みます
白黒ですがなにせ情報量が多すぎる。しかも負の。視線は刺さるようで釘打ちされたように体が硬直するし、指先の冷たい温度が伝わってくるよう。怯えた表情にこちらも身震いし、ニタニタと悪意ある笑みを形づくる唇、そこから覗かせる不正歯列に不安を煽られ、苦しそうなうめき声、叫び声、声すらあげられない者… 描写があまりにも生々しくて心が蝕まれ気分が悪くなるほどでした。
少年が慕っていた鳥のおじさんを最初は助けようとしたが無理だと分かった時に苦しまないようにととった行動が辛かった。
生きる為に必死で靴を磨き、見上げて視線で乞うシーンに涙が溢れた。
司祭と少年という画に嫌な予感がしていましたが、いい人で良かった、と思ったのも束の間…
動物を助けようとしていた少年。そんな少年がとった無慈悲で残虐な行動は、大人たちが教えたのだ。住む場所を無くし、名前を無くし、声を無くし、表情を無くし、心を無くした。少年の視線が恐ろしくて観るのがやっとだった。"目には目を 歯には歯を"
同じ種であるのに色を塗られた鳥は叩き撃ちに遭う。同じ人間であるのに信仰の違いで殺し合いをする。"異端の鳥"をなぜる少年はそこに自分を投影して何を思ったのだろうか。