"あんたは運が良い"
【STORY】
家を失ったユダヤ系の少年が各地を彷徨っては過酷な運命に翻弄される、かつてないほどに暗く残酷なロードムービー。
【一言まとめ】
●ずっとしんどい
●実際に迫害があるという現実が重い
●強くなる彼が見ていて辛い
●白黒ならではの閉塞感
【感想】
ポスターから勝手にタル・ベーラ監督作品みたいな雰囲気を想像していましたが、時間はさほどゆっくりに描写されずテンポが良く展開するので、暗い物語ながらも観やすめではあったと思います。
原作小説ベースだというのもテンポの加速を手伝っているかもしれませんね!
もう初っ端から胸糞な始まり。それからというもの、ほぼずっと胸糞。
少年はただでさえ迫害される立場な上に不器用で要らぬミスもしばしばするため、常に周りから攻撃され続けます。
そして不運にも、自分とは関係のない残酷な出来事も目撃しまくります。
人間が悪戯でペイントした鳥が他の鳥達に攻撃されてボロボロになる姿を見つめる彼は、自分の存在を神の悪戯とでも感じたでしょうか…
100年も遡らない時代にホロコーストは確かに存在していて、今でも人種を理由に迫害されている人々がいて、"不幸" では片付けられない理不尽な思いをさせられているという事実が、重たくのしかかってきます。
"厚意" で彼を迎え入れる人々。彼は "運がいい" といいながら彼を保護(?)する人々。何度も期待させられ、何度も失望させられ、徐々に強くなっていく彼の姿が痛々しく、観ているのが辛い作品でした。
白黒ならではの閉塞感が彼の旅路に暗く陰らせていました。
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観た回数:1回
直近の鑑賞:映画館(20.10.11)