チャーリーとニコール夫婦は、夫が主催している劇団の演出家と、その主演女優だ。
夫婦仲は良かったものの、ニコールは自分の本当にやりたいことが出来ない事への息苦しさを感じ始め、別居して離婚調停を申し出る。
最初は調停だけで離婚しようと思っていた二人だったが、チャーリーにはニコールの切迫感がまるで伝わっておらず、弁護士を立てるようになると、
今までは「二人の良いところを思い出しましょう」と考えることも出来ていたのに、途端に泥沼にハマっていく。
ニコールはアメリカ人にしてはまだ穏やかな人だから、チャーリーがもう少し妻がやりたい事に協力的だったら、離婚には至らなかっただろうが、この頃のチャーリーは、妻の変化に全く気付いておらず、深刻さにも気付かなかったのだろう。
私はまだ弁護士の世話になった事は無いが、ただでさえ費用も高いのに、弁護士が入る事によって二人の間には必要以上の亀裂が入っていく。
特に、NYからロスに調停にわざわざ来なければいけないチャーリーは、仕事にも支障が出るし、両方に住居も借りなければいけないしで、最初から分が悪かった。
きっと彼はとことん泥沼の底まで行くのに疲れて、途中で諦めてしまったのだろうな。
チャーリーは育った環境が悪かったそうなので、もうちょっと早く彼が折れていれば、家族や仲の良かった妻側の親族をも失わずに済んだのに。
最後のハロウィンのシーンで、部外者になった彼だけ、仮装の衣装が違うのが可哀想だった。
私の世代は妻の方が仕事を辞めて、住む場所も夫の仕事に合わせる人の方が多かったが、最近は妻も総合職で働いている人も増えているし、夫婦別姓を選択した方が本当は女にとっては楽だし、
今後は日本でも、こういう傾向がもっと加速していくのだろうと思った。