スカヨハとAドライヴァーの新旧競演で、夫と妻の価値観や意識のちがいから離婚を決意した夫婦間の問題が容赦無くあるあるネタをぶっ込みながら取り上げられる。単純に映画として面白くはない、が語り口の豊潤さとユニークな絵造りでまろやかに離婚という一見重くなりがちな題材を調理して魅せた作品ではないか。最初こういう少し深刻な映画と想像せずに観たためか面食らったフシもあり行き着くトコまで人間の脆さが掘り下げられた映画に思う。中盤でドライヴァー演じる夫チャーリーが、家内でナイフを使う場面で徐々に血が滲み始め意識を朦朧とさせながら子供にひた隠すシーンは印象的だった。またヨハンソン演じるニコールがこの映画内では夫への怒号を撒き散らしているが、相手への違和感を徹底的に追求した先の景色がこの映画ではまざまざとリアルに紡がれている。言葉で相手にちゃんと伝える大事さ尊さを謳った至って直球の社会派映画だ。
