こんな30代の夫婦はアメリカに沢山いるだろうと思われる、離婚調停もの。話は凡庸だが、素晴らしい脚本と３人の俳優の好演で中盤過ぎからグイグイ引き込まれる傑作である。
監督と脚本はノア・バームバック。大好きな彼の作品『フランシス・ハ』と同様に、現実感が溢れる少し独特な雰囲気が心地良い。
演技が絶賛されているスカーレット・ヨハンソンは、こんなにブスだったの？と思わせるほど一般人と変わらない容姿を「演じて」いるのが凄い。
嫌味な女性弁護士役のローラ・ダーンも、これぞ助演の演技といわんばかりの好演。彼女の存在がこの地味な物語を面白いものに仕上げている。
そして『パターソン』は今イチだったが、アダム・ドライバーがいい。奥方側よりも複雑な立場の旦那役を、見事に演じていたと思う。そして、終盤の劇団員とのパーティで、生ピアノで歌う彼の歌が実に素晴らしい歌唱力で驚いた。舞台ミュージカルの経験もあるのかもしれない。
音楽は久しぶりに名前を見たランディ・ニューマン。2019年最後の日に良い作品を観る事ができてハッピーである。
