日の出食堂

ホモ・サピエンスの涙の日の出食堂のレビュー・感想・評価

ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)
2.5
他人の悲劇は喜劇の味

いろんなシーンが断片的に現れるが、全編青みがかったグレーの色調でまとまっていて、現実と寓話のあいだのような雰囲気に包まれている。
好きだったのは、レストランのウェイターが、新聞を読み続けているお客のワインをドボドボと注ぎ続けてテーブルをめちゃくちゃにしてしまうシーン。なんだか哀しいけど、可笑しいホモサピエンスの一側面が愛おしい。
各物語の背景や文脈が語られることはなく、神のような視点から淡々と進む作品で、作り手の明確なメッセージは極力抑制されているが、雪が降る聖夜のバー(?)のような店で、客も店員も全く楽しくなさそうで無表情なのだが、ある男が唐突に「世界は素晴らしいよな?」みたいなことを近くにいる男に同意を求めるシーンには、登場人物と距離を保ちながらも、どこか同情的で肯定的な作者の気持ちを感じた。