当初は完全に田中泯さん目当てでしたが、全てのキャストが素晴らしかった。
北斎は、この間北斎漫画展を見に行ったので、庶民の姿を描くシーンでは思わずニヤニヤしてしまいました。
予告を観ただけだと、単に北斎の生涯を彼の作品とともに描いたような映画なのだと思っていたのですが、北斎だけではなく、創作に生涯とプライドを懸けた人々を描いた映画でした。
蔦屋さんが世界地図を北斎に見せ、世界中で商いがしたい、と言ったシーンが印象的。実際に世界を目にすることは出来なかったけれど、蔦屋さんが関わった絵師たちが世界の画家たちに影響を与えているのだから、絵で世界を変えられるという信念は叶えられたのだと思うなぁ。
瑛太演じる種彦も印象的。というか瑛太がやはり素晴らしい。「今夜は冷えますね」っていうセリフにあれだけ情感込められるのが素晴らしい。
覚悟をしたあの表情には釘付けになりました。
そして主演のお二人。
セリフのないシーンが特に素晴らしい。むしろセリフは要らない。自然と北斎がそこにいれば全て成立。
最後のシーンは、一歩間違えばチープに見えかねないと思うけど、このお二人のそれまでの演技の積み重ねの上にあれば、とても感動的なシーンだと思いました。
