あや

娘は戦場で生まれたのあやのレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
4.5
シリアのドキュメンタリー。
アレッポって、とてもきれいな街だと昔聞いたことがあったので、思わずぐぐってしまった。
内戦前のアレッポの街は、本当に美しくて
でもこの映像に映ってるアレッポはどんどん破壊されていき、
病院すら空爆されていき、瓦礫の山に。。
どうか映画であってほしいと思うほど。


独裁的で、汚職だらけのアサド政権に対してはじまった平和的なデモから、
政府軍が反政府の民衆を、ロシアなどを巻き込んで軍事力で押さえ込もうと、政府によって市民の犠牲が次々に増えるアレッポ。

そんな内乱の中、ISが台頭して恐怖政治に支配されてしまうラッカ。こちらも見せしめにたくさんの市民が殺されている。
こんな悲惨なことが続いていいんだろうか…


この映像は学生運動で反政府デモに立ち上がった女性が映像を記録し、市民ジャーナリストとなり、アレッポの変わりゆく姿を、赤ん坊である自分の娘に映像で語りかけていくスタイル。

そこには本当に我々と変わらない日常があり、
家を買ったり、植物を育てたり、結婚したり他愛もないことで喜び、
でも全てが政府の攻撃によって跡形なく破壊され、ついには街を追われる。

そんな中、医者である製作者の夫は、壊されても壊されても病院を作って最後まで街に残り、怪我人を何千人も手当てし、最後の最後まで諦めない。。

空爆を受けた弟を泣きながら運び込んでくる子供達…そんな残酷すぎる姿が多すぎて、
本当に目を覆いたくなる映像ばかり。
こんな悲劇がきっと今も連日パレスチナや他の国でも起きているのに、
先進国も国連も何にもできないんだなぁ…というのが改めて残念でならない。
あや

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