娘は戦場で生まれたの作品情報・感想・評価

娘は戦場で生まれた2019年製作の映画)

For Sama

上映日:2020年02月29日

製作国:

上映時間:100分

あらすじ

「娘は戦場で生まれた」に投稿された感想・評価

fujiponsai

fujiponsaiの感想・評価

4.0
究極にミクロの視点から撮られたドキュメンタリー。だからこそ、関わった人たちの日常がそこにとらえられています。
日本のテレビでは決して配信されないだろう映像があり、人によってはきついかもしれませんが、その横で小さな女の子は笑顔で笑っています。
なぜなら戦場で生まれた彼女にとってそれが日常だから。
ryusan

ryusanの感想・評価

4.1
アラブ首長国連邦より映画最新情報をお届け。
ひと足お先に「娘は戦場で生まれた」観てきました。

本作はドラマではない本当の戦争を描いたドキュメンタリー。

戦争ドラマも心に刺さる名作は多いですが、真実の迫力はやはり別格。
シリア戦争の激戦地アレッポでその惨状をビデオで撮影し続けたジャーナリスト志望の女性ワアドと彼女を支えた医者ハムザの物語。
次から次へと担ぎ込まれては死んでいく市民。そこに写る傷付き亡くなった人々は本物、流れる鮮血も本物、それに泣きすがる身内の涙も本物。

そして容赦ない政府軍やロシアの無差別攻撃は時に仲間の医師の命も奪う。
今でも国民の60%が難民となり約40万人の死者が出た人と言われるシリア。
しかし二人は最後まで戦地を離れず傷付く市民を救い見詰め続ける。
そんな中でも見せる人々の笑顔がかえってつらい。

原題は「For Sama」
二人は戦地で結婚し、一人の子供を授かる。その子の名がSama。
空爆も当たり前に育ったSamaはどんな爆撃の衝撃にも驚かず泣かない。
この作品はそんな戦地で生まれ生き延びたこの子に捧げられた真実の物語。

同じ中東でも比較的平和なアラブ首長国連邦に住む自分にとって、ほんの数時間のところに明日の命の保証も無い国もあると思うとより一層複雑です。

日本でももうすぐ公開されるそうですので是非ご覧下さい。



ブログも宜しくお願いします。「干支映画特集」更新しました。
http://blog.livedoor.jp/filmactors/
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

5.0
【現代のこの世界の片隅に】
第92回アカデミー賞長編ドキュメンタリーで『THE CAVE』と並び、シリア・アレッポにおける《この世界の片隅に》を描いた本作がノミネートされた。

噂で、ヤバすぎる!と言う声を聞いていたのですが、よくある内戦レポートでしょ?と鷹を括っていた私は土下座したくなった。

手持ちカメラで、部屋から出るワアド・アルカティーブ。彼女はジャーナリストに憧れ、カメラ片手に目の前で起こることを片っ端から撮っていた。爆撃があり、5m先から煙があがっているのに、FPSゲームさながら煙に飛び込み、階段を駆け足で降りていく。すると、無数の血だらけな人々が横たわっている。数ヶ月滞在しただけじゃなかなか遭遇できない、直ぐそばにある危機を勇敢に彼女は収めていくのだ。

何故彼女は必死なのか、「撮るな!」という男の制止を振り払い彼女はアレッポの全てを撮り収めようとする。単なるジャーナリストになりたいだけでは辿り着けない信念だ。

実は彼女は医師ハムザとの間に子どもを授かっていたのだ。彼女は、大人になった娘サマの為に、今のアレッポをアーカイブしようとしたのだ。

『この世界の片隅に』は、映像撮影が庶民の手に及ばない時代の話だったので、絵という虚構に振り切れたものでしかあの時代の生活をアーカイブできなかった。しかし、今やカメラは多種多様。なんならスマホやドローンですら高解像度な動画が撮れる。本作は、現代における戦争下の市民生活をアーカイブした歴史的重要な作品と言えよう。

そして、無数の死体を埋める場面等開いた口が塞がらない描写の連続に驚きを隠せませんでした。

日本公開は2/29(土)渋谷イメージフォーラムにて!
CHIE

CHIEの感想・評価

5.0
すごくよかったです。
爆撃の中にある日常。
絶望的な環境だけど、なぜか希望も感じる。
[サマ、アレッポを憶えている?]

"サマ、この映画はあなたのために作ったの。なぜあなたの父と母がこのような選択をして、何のために戦ったのか、分かってもらうために。"

『For Sama』という題名の通り、これはワアド・アル=カデブが娘のサマに向けたポートレイトであり、タイムカプセルであり、故郷とそれを守るための戦いの記録である。語り口は常に幼い娘に向けられており、その手法はペトラ・コスタ『Elena』を思い出す。それほどパーソナルかつミクロな視点で内戦を捉え、アレッポという激戦地に暮らすある夫婦の生活から非人道的な戦争の片鱗が見えてくる映画と言えば良いのだろうか。画面に映った人々、サマに関わった人々は既に故人であることも多く、それが密接であるほどに悲惨さは増していき、『Elena』の携えていた鬱屈した感情は何倍にも濃縮した形でアレッポへの執着へと変わっていく。彼らの犠牲を無意味なものにしないために。そして、サマへの呼びかけはいつしかサマたち子供世代全体への呼びかけとなり、アレッポの惨状を知らない世界中の人々への呼び掛けへと変化していく。いや、最初からそうだったのかもしれない。映画には大人たちと同じくらい多くの子供たちが登場する。彼らの多くは病院で亡くなり、ワアブはサマに語りかける。あなたにはこうなって欲しくない、と。そして世界中の子供たち、引いては戦争を知らない全ての人間にも語りかける。あなたにはこうなって欲しくない、と。

アレッポ大学で経済学専攻の学生だった2012年。ワアブは、世界から無視され続けるシリアの現状を伝える唯一の手段としてカメラを携えて生活を撮って回り、医師であり親友のハムザなどとともに、荒廃していくアレッポから一歩も引かずに自力で病院を始めるに至る。サマ誕生以前の物語だ。いつも笑ってワアブを勇気付けてくれるハムザは医師として昼夜問わず働き続け、何が起ころうとアレッポ西部を離れない人々を支え続ける。悲惨な出来事とそれでも楽しく美しい出来事は交互に訪れ、ワアブの、ハムザの心を掻きむしる。一時は楽観的にアレッポの自由を謳歌するも、政府側の攻撃は激しさを増し、外にすら出られなくなる。病院も爆撃対象となり、治療中の患者や同僚の医師たちですらそれに巻き込まれる。

数ある悲惨な出来事の合間に美しい時間が差し込まれることも多くある。室内で行われたワアブとハムザの結婚式。食料が絶たれた中で、柿をプレゼントした時の友人家族の姿。子供たちにせめて子供っぽいことをさせてあげようと、焼け焦げたバスにペンキを塗る昼下がり。爆撃に冗談を言う瞬間。これらは繰り返される惨状の中で光り輝いている。しかし、そんなふとした美しい瞬間も、次々と襲いかかる悪魔的な出来事の数々を前にすると時に無力になってしまう。ワアブは亡くなった子供の両親が既に亡くなっていることを知って"少なくとも子供を埋葬する必要がないだけ羨ましい"と思ったり、サマを産まず・ハムザにも会わず・田舎からアレッポに出てこなければよかったと弱気になったりする度に、自問自答を繰り返し、アレッポで戦う意志を再び固める。そして、水も食料も電気も絶たれたアレッポ唯一の病院の血に塗れた廊下と、爆撃を避けて窓を塞いだサマの部屋を往来しながら、世界から見放された戦場を捉えていく。

ワアブは全てを撮影することについて、"アレッポにいる意味を与え、この悪夢を時間と労力をかけるだけの価値があるものに変えてくれる"としている。それによってミクロな視点と語りかける手法から普遍性を得た映画は、アレッポにおける戦い、シリアの内戦を軽々と超えて、世界大戦前夜の空気が流れる現代社会に強烈なメッセージを叩きつける。アレッポの惨状は世界大戦が起こればどこにでも起こりうるのだ。BGMのように戦争を聞き流している中東から離れた人々も他人事では済まされない。

失われたアレッポに思いを馳せながら、サマに語りかけるように紡がれた戦いの記録は、取り返しのつかない破壊の記録でもあった。いつしか平和裏に帰宅できる日が来ることを願って。
Haru

Haruの感想・評価

5.0
戦場のドキュメンタリーは多々あるけれど、いつも見るのを避けてきた。どうしても他人事感、ドキュメンタリー制作側の優越感を感じるのが嫌だったから。

でも、そんなふうに忌避してる人たちもみんな見て欲しい。まさに命を削って作られたドキュメンタリーだから。自分の娘を安全なところで守りたいという思いがありながらも、それでも戦場に居続ける。伝えなきゃいけないことがあるから。そういう確固とした彼女の決意が、映画の全てに滲み出てる。

アメリカの小さい映画館で見て、上映後衝撃を受けすぎて立てなくなったけれど、やっぱりこういう小さな映画は世界的に評価されないのかな、、、なんてブルーな気持ちで帰った。でもアカデミーにノミネートされたのを見て、そして日本でも上映されるのを見て、本当に本当に本当に嬉しかった。もっともっと、多くの国で多くの人が彼らの血の結晶でもあるこの映画を観れますように。
ま

まの感想・評価

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爆破で亡くなっていくひとたちと対照的に映されるSamaがなんともいえない… 亡くなった母親から生まれた赤ちゃんが息を吹き返すシーンがめちゃくちゃリアルすぎたし、、日本で見たシリアのドキュメンタリーより血まみれの人たちとか死体がもろうつってるし、やっぱりそういう状況の中の人たちの目は共通して死んでるんだなぁとか、兄弟が死んでるのを見つめてる子供の表情とか印象的だった
言語わかってないのでちゃんと評価はできません…
K

Kの感想・評価

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爆撃が繰り返されるシリア内戦下のアレッポで、映画監督は医師と結婚し、娘のSamaを産み育て、「日常」をカメラに収める。死と隣り合わせで営まれる生活、その風景の中で見えてくる人間的な瞬間の数々に目を奪われる。言葉にできない圧倒的な美しさと力強さを持った今年最高の映画。