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私のちいさなお葬式のjamのネタバレレビュー・内容・結末

私のちいさなお葬式(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

死ぬ場所は"自宅"なの
検死医と約束したの


ロシアの片田舎
長年教師を務めた73歳のエレーナは
心臓疾患のため、余命宣告を受ける
都会で経済的な成功をおさめている最愛の息子に
迷惑をかけまいと旅立つ支度を始める…

と、綴ってみると重いイメージであるけれど
お茶目な"エレーナ先生"の「終活」は
ちょっとぶっ飛んでいて。

まずは戸籍登記所へ。
埋葬許可証を貰いに行くものの、
まだ死んでいないから、と断られ。
この登記所の担当者が渡辺えりさん風で最高
仕方なく、遺体安置所へ。
そこで検死医として働く、かつての教え子のセルゲイに頼み込み、死亡診断書をゲット。
その足で渡辺えりさん似の職員のところへ戻り、
埋葬許可証をゲット。

エレーナ先生は止まらない。
さらには、
自らが入る赤い棺桶をお持ち帰りで購入。
夫の墓の隣を墓掘りして、準備は着々進むのです。

シュールな笑いが満載で。
"死"をネタにしたいわばブラックジョークで何度もクスクス、止まらなくて。


原題は、なんと「解凍した鯉」
そう、物語のキーとなる鯉。
ミラクルを起こしてくれます。


こい、と言えば。

準備が整い、あとは死ぬだけ、となった夜
月明かりの下
おそらく、
お気に入りのワンピースとパンプスに身を包み
死化粧さながらのメイクで身を委ねるのは

ロシア語版「恋のバカンス」

別人のようなエレーナの妖しい美しさ


自力で死ねないとわかり、友人のリューダに助けを求めるものの…


エレーナを取り囲む人々のユーモアと愛情に溢れる様子にほっこりさせられ



仕事人間の息子が
ほんとうの気持ちを取り戻していくさまに胸打たれて
彼が、鯉を放すシーンの
青から橙色へとグラデーションしていく
水面の波紋に見惚れて…



エレーナの年齢に近い人
息子の年齢に近い人
それよりも若い人

観る人それぞれに感じるものが違うと思うけれど
私は、こんなおばあちゃんになりたい…かなぁ?
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