春陽

私のちいさなお葬式の春陽のネタバレレビュー・内容・結末

私のちいさなお葬式(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

終活と言っても、家や物を処分するとかではなく、自身の死亡診断書を取り、棺桶を買い、墓地を決めて、通夜の振る舞い料理を準備をするといったもので、今晩にでも亡くなることを前提にしていることがすごい。何故、生きているのに死亡診断書を取る事ができたのか。それは彼女が教師だったことで、色々な場所にいる教え子やご近所さんが助けてくれた。一通りの通夜の準備を終え、さあこれで大丈夫と、お気に入りの服とパンプスを身につけ、化粧をし、好きな音楽(恋のバカンス)をかけ、死に向かって気分を盛り上げてひとり踊りっている姿はなんとも言えない物悲しさがあった。だが、こういう準備ができるというのが羨ましくも思えた。この様子を見ていた隣人からの連絡で、オレクが都会から様子を見に戻ってくるが、どこかぎこちない。一方、エレーナは息子が帰ってきてくれたことが嬉しくて、好物を作り世話を焼きたがる。母親ってものは息子が大好きだよね。この二人の食事シーンが微笑ましかったよ。
ど田舎ののんびりとした空気とさびれた風景が、このシュール終活を重くさせないでくれた感じ。とても考えさせられた。

劇中でロシア語の『恋のバカンス』が流れるのだが、あれ?この曲って?と思ってググったら、日本のザ・ピーナッツのヒット曲をロシア(当時はソ連)の東京特派員がとても気に入り、母国に持ち帰り積極的に展開して、人気歌手に歌わせるなどで大ヒットしたとのこと。その後もリバイバルされて、この曲が日本で作られた曲であることを知らない人さえいるほど、現在のロシアでも世代を超えた有名曲となっているそうだ。
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