妊娠を待望する新婚カップル(細川佳央&友田彩也香)が、倦怠と不和を乗り越えていこうとする。"平成"の30年間を舞台背景にしている、オーピー配給のピンク映画。
(筆者は、成人映画館向けのR-18版「平成風俗史 あの時もキミはエロかった」を鑑賞している)
主役格の新婚夫婦、フリーターの童貞青年(櫻井拓也)、異なる性意識をもつOL2人組(なつめ愛莉&卯水咲流)などが、私小説スタイルのセックス群像を展開。軽やかなテンポで視点が切り替わっていくため、あれよあれよと牽引させられる。
とりわけ、色恋とは無縁の人生を歩んできた童貞君のエピソードが絶品であり、テレクラ、ダイヤルQ2、出会い系サイトを利用しながら、自らの性衝動を消費させていく過程がフィジカルに描かれている。早世した俳優・櫻井拓也の名演技もまた素晴らしい。
女優陣では、内向的なOLを演じるなつめ愛莉が、消費社会に堕ちていく薄幸女ぶりを熱演。乱反射的な心情吐露がとてもエロく、それでいて清々しいほどの退廃を感じ取ることができる。男と女の情念をコンパクトにまとめる手腕には、ただただ感服するばかり。