グラッデン

バーナデット ママは行方不明のグラッデンのレビュー・感想・評価

4.2
リチャード・リンクレイター監督&ケイト・ブランシェット主演の作品。

予告編等で伝えるポップな雰囲気に見せかけて、メンタルヘルスを題材にした物語に仕上がっていた。挫折による精神的負荷と再起、万国共通の現代的なテーマだと思うが、成果主義が浸透している米国で「逃げる」選択肢は日本以上に難しいと思う。

2019年の作品のため、ケイト様としては本年公開された『TAR/ター』の方が後になるが、天賦の才を持った女性の挫折と心理的不調が共通している点、いずれの場合も逃げた先にまた活路を見出している点は興味深い。

また、リチャード・リンクレーター監督のインタビューを拝見したが、原作小説の掘り下げとは別に、ご自身の母親に思いを寄せて制作したとのこと。この後に手がけたのは自身の少年時代の思い出をベースにした『アポロ10号 1/2 宇宙時代のアドベンチャー』というのは、意図的ではないにしろフィルモグラフィの連続性を感じた。