モーテル

Redのモーテルのレビュー・感想・評価

Red(2020年製作の映画)
2.2
原作と映画は同じものを作ってはならないという意見もあるだろうけれど、流石に酷いなぁ…。

私は原作既読組なのですが、どうしたって抜いちゃいけない原作部分が2つあると思います。

「生理中にセックスをするシーン」とセックス中に塔子が「鞍田さん好き」と言ってしまうシーンです。

いや、このシーン抜いたら何を観るんだ 笑

生理中のシーンって「生理の時に性交渉をするのは不潔だと思っていた。」けれど鞍田に丁寧に一つ一つ触れられていく事で、不潔でない、引いては自分の中の女として血を受け入れる、受け入れてもらってる。という「Red」が成立すると思うんですよね。

それが無いから、何?夕焼けのREDなの?ってくらい要素が薄い。
もちろん改変した部分である鞍田の事も指してるんでしょうけどあまりにも薄い。

次に「鞍田さん好き」が必要な点として、絶対に認めたくない要素かつ自分が存外プリミティブな存在だったという事に気づいて、女と家庭と母親の間で揺れる葛藤の要素になるはずなんですけれど、もうなんかそれもなくて、映画の冒頭からおっぱじめちゃってるから葛藤がすごく弱い。
なので最後のシーンも何のドラマも無く終わってしまう。

後、すごく残念だったのが鞍田のキャラクター造形。
鞍田って原作だと割と敬語で塔子と喋ってるんですよね。

だからこそ子供っぽい旦那と違って大人の余裕があるっていう魅力があるんですよ。

それなのにセックスになると敬語が外れたりして、殆ど獣で紳士的じゃなくなる、それなのにすごく冷たいものを心に潜ませてる…っていうのが魅力のハズなんです。

それがこの映画だとセックス前にもうダウナー系になってて、セックスしてからは態度が柔和になってるんです。

逆!!!

それだと普通のしょうもない男になっちゃうじゃないですか!!

色んなことを悟って生きている男だと思ったけど、肌を重ねてみると本当は何も許してはいない悲しい男だからこそ惹かれるんじゃないんでしょうか?

映画の描写の仕方だと妻夫木聡じゃなかったらボコボコにされるような陰湿で強いストーカーのように映ってしまっている気がします。

原作の台詞をなんと無くパッチワークして、監督もしくはプロデューサー?の意向と自己満足に走った結果なんの過程もない作品が誕生してしまった感。

過程のない濡れ場はただのセックスビデオにしか過ぎず、最後の濡れ場なんてちょっと早く終わってくれないかなとかよぎってしまった。
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