ちゃりお

マトリックス レザレクションズのちゃりおのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

マトリックスシリーズは世界への不信感を隠さない陰謀論的な作品であった。有名なレッドピルのシーンは真実を求める陰謀論者と、嘘の世界に安寧を求めるシープルとを対立させ、区別する儀式として陰謀論者に利用されている(ピルを選ばされる動画を見たことはないだろうか。青を選べば動物の可愛い動画に飛ばされ、赤を選ぶとマイケルジャクソンがフリーメイソンに殺されたという陰謀論へと飛ばされる)。

ネオは「目覚めた人」として嘘の世界と戦い、その中で第三の敵の出現を契機に人間と機械の戦争を終結させる、というのが三部作の結末だ。

ここでは陰謀論が正しいものとして描かれている。それは20年前の世界に対して募った不信感の現れであり、その表現を責めることはできない。

しかし、それから20年以上が経った今、陰謀論はアメリカの国会議事堂に暴力を巻き起こすほど影響力を持ってしまった。

意図の有無に関わらず陰謀論の想像力の源泉となってしまった『マトリックス』は最新作で何を語るのか。

結論から言えば陰謀論の甘美な理想は薄まらず、懐古のための単なる一つの部品の一つとして触れられたのに過ぎなかった。ここはとても残念だった。

前作が人間と機械の和解、つまり人間と技術との和解を描いた、とするならば『レザレクションズ』はrealとunrealとの和解を描いた……と言うと言い過ぎだが、うっすら触れられていた。

全体的に懐古に浸る作品であった(あんなコテコテのキスシーンは昨今なかなかお目にかかれない)。