真っ黒のキャンバスに、濃い色をのっぺりと乱雑にしかし意味ありげに塗りたくった、そんな作品
結局、無意味
なんのための戦いなのか
奥地に進むごとに見えてくる
安全な場所で、前線からの情報を聞き作戦を淡々と進めようとする上層部
戦争になんの目的も感じず、唯唯自らの身を守るために戦い、戦果を挙げるために戦い、戦いそのもの殺しそのものを楽しむために戦い、はたまたサーフィンのためだけにひとつの村を壊滅させる
観光気分で戦場に赴く兵士たち
辛い戦場で慰めを求める兵士たち
最前線で、指揮官のいないまま唯唯生きるために戦い続ける兵士たち
あの戦いに理由なんてない目的なんてない
一方で、途中立ち寄った邸宅のフランス人らは、彼らの土地を守るという目的をもって生きていて
死んだ仲間の少年の丁寧な埋葬や
前途分からぬウィラードの前に裸体を晒す未亡人と合わせて
なんとも言えぬ人間味をその農園の場面で見せつけられる
最後の王国の場面は、もう何度か観て推考せねばと思う
あの場面はホントによく分からなかった
よくわからないのが正解なのかもしれない
長い時間をかけ、自身も精神的にやられながらも、フランシスはこの作品を創り上げた
このファイナル・カットは、彼の集大成
他のバージョンを観ればまた違った面が見られるかも
また、手綱のさばきを気にも留めぬ大物俳優人のお陰で
幸か不幸か、一体の生けるものとして存在する作品となった
この作品は、内容としても非常に濃いが、画としても素晴らしい
あの有名なワーグナーの場面
パナーム弾
爆撃に皆が姿勢を低めて反応する中、唯一人サーフィンで頭がいっぱいのキルゴア
久々の慰めに我を失う兵士たち
ヤクにやられてジャングルの中の川の船の上で振り回す虹色スモーク
ヌン川沿いの彼方此方に見られる撃墜されたヘリや飛行機
白塗りの生体よりも、枝々に吊るされた生々しい死体の方が活き活きと見える王国の入口
薄暗く横から光が当たって浮き上がるカーツ
水の中からのっそりと出るウィラード
そして音
迫力
現実感
進みゆく物語の背景にある音楽が常に頭にあって
オペラ調の作品にしたかった監督の意図が垣間見える