映画狂人

雨のやむときの映画狂人のレビュー・感想・評価

雨のやむとき(2019年製作の映画)
-
「寝屋川市中1男女殺害事件」をモチーフにしたと思われるPFFアワード2019準グランプリの30分にも満たない短編。
家庭にも学校にも居場所のない少年少女の邂逅を通し、大人の都合に振り回される子供達の胸中を描く。
事件そのものではなく背景を描くことで見えて来る景色がそこにはある。
PFF関連の作品は好みのものばかりなのでついつい観てしまうが重いテーマに対してこの尺はやはり短すぎた、家庭環境の描き方に関しても何処かで観たような紋切り型のありふれたものだったので(特に少年の母親の描写は既視感しかなかった)実事件を元にしているとは言え何かしらの独創性は欲しいところ。
一部役者の棒読み演技や拙い演出など低予算のインディーズ邦画らしいチープさは否めないものの、雨に濡れたアスファルトが夜の灯りに反射する様や人物の足下を映した構図等ふとしたショットに光るものを感じる。
子供達の苦しみが痛いほど伝わるからこそ真っ暗闇の中をとぼとぼと歩く二人の後ろ姿が遣る瀬無い、最後に流れる音楽は映画の雰囲気に合っていて余韻を残す。
辛い現実を乗り越えた先にあるであろう二人の未来(実際の事件では悲しい結末を迎えてしまったが)を見てみたくなった、やまない雨はない。
映画狂人

映画狂人