すあまさえ

ワンダーウォール 劇場版のすあまさえのレビュー・感想・評価

ワンダーウォール 劇場版(2019年製作の映画)
4.1

勝ったね。というか、戦いはまだ続いている。負けていない。

京大の吉田寮をそのままなぞって作られた作品。

そして、その吉田寮は今も存続しているし、今年も入居者を募集している。

笑っちゃうよね。安心した。

裁判が続いていることは事実。
大学は潰したくて潰したくてしょうがないんでしょうね。

金儲けだけしたい大学と、大事なものが詰まってるこの寮を残したい学生と。


権力は強いよ。敵いっこない。
たくさん握り潰されて泣いてきた過去がある。

けどさ。
若者は怖いよ。甘くみない方がいい。それに、そっちが思ってるほど馬鹿じゃないし、死なないんだよね。怖いものがない奴の覚悟はすごいんだよ。

でもさ、そもそも寮を潰すなんて言わないでほしいよね。
お金だけじゃないんじゃないのかな。あんたたち教育を担ってるんだよね?そんな人たちがすることか?

こうやって、大事な場所が、居場所が、そこを取り巻く空気がなくなっていく。
一度なくなったものはね、取り戻せないのよ。歴史とか伝統ってものはね、一瞬じゃ作れないのよ。成熟って言葉知ってるのかしら。

同じだけ時間がかかる。それをわかってるのかしら。


あっけらかんと負ける日が来るかもしれない。けど、こういう場所が世界からなくなることは、私たちにとって後退だと思う。
すあまさえ

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