イシハラCリョウイチ

ワンダーウォール 劇場版のイシハラCリョウイチのレビュー・感想・評価

ワンダーウォール 劇場版(2019年製作の映画)
4.0
「居場所」を奪われようとする学生たちと、大学の戦いを描いた物語。寮は学生たちの衣服が四方に干され、床には布団が所狭しと引かれた雑然とした場所だ。足の踏み場もない。隙間風もひどく、冬は布団に包まらねばならないほど劣悪だ。けれどそこに住う学生たちは、それに不満を抱いてはいない。寒さに耐え、布団に包まりながら友人と議論を交わし、鍋を突き合うその空間に確かな幸せを感じている。しかし自己充足的な学生たちの生活を、権力者たちの止まることを知らない功利主義が脅かそうとしている。「居場所」を守るため我々は声を上げ続けなければならない、そう思わせてくれる作品。