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ザ・レポートのEDDIEのレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
4.0
ブッシュ政権下のCIAの容疑者拷問の事実を調査する実録社会派ドラマ。塗り潰された過去の愚行を暴く上院調査スタッフの数年間を描く。オバマ政権下においても、その悪行を認めようとせず、四面楚歌状態になっていく主人公の心情が切なく痛い。

原題“The Report”は、Amazonオリジナル作品。アダム・ドライバー主演の社会派ドラマで、アメリカが誇る諜報機関であるCIAの許されざる愚行を暴いていく模様が実にリアルでおぞましいです。

特に劇中でCIA局員が勾留および尋問を行なうシーンでは、あまりも非人道的な行為の連続で目を塞ぎたくなります。

映画のラストで示されるジョージ・ワシントンの言葉がすべてを物語っており、そこに至るまでの調査スタッフにして主人公のダニエル・J・ジョーンズ(アダム・ドライバー)が、600万ページという途方に暮れる量の文書を調査しながらも司法やCIAからの妨害を受け正義を尽くすのが困難になっていくさまが見ていてツラいものがあります。

本来原題は“The Torture Report”だったらしく、そのまま訳せば『拷問のレポート』です。この直接的な描写に意を唱えられたのか、“Torture”が削られてしまったわけですが、そこを塗り潰しただけのポスタービジュアルが秀逸です。

作品としては、➖➖➖なCIAの行動を➖➖➖していき、➖➖➖と➖➖➖をした結果、➖➖➖は➖➖➖となってしまうわけです。

意味わからないと思いますが、本作に出てくる文書は上のように本当に何もわからないほどに、当時のCIAにとって不利な内容は塗り潰され提出されたのです。

監督は『コンテイジョン』や『サイド・エフェクト』といった社会派かつ心理描写の巧みな作品の脚本を務めたスコット・Z・バーンズ。一見地味な内容を非常に巧みな人間心理を追求し、見応えのある作品に昇華させている手腕は見事です。

これがAmazonオリジナルで配信オンリーというのが勿体ないですね。
一見の価値ありです!

※2021年自宅鑑賞8本目
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