ピンク

ザ・レポートのピンクのレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
4.5
2001年、世界から9.11と呼ばれることになるアメリカ同時多発テロ事件。テロを事前に防げず焦ったCIAは、違法のはずの「強化尋問プログラム」という名のれっきとした拷問を重要参考人たちに施していく。暴走するCIAの行ってきた、あまりにも人道から外れた行為を公開するためにダイアン・ファインスタイン上院議員率いる情報委員会のリーダー、ダニエル・ジョーンズの国家を相手にした、とてつもなく長い闘いを描く。

今作では数々の拷問シーンが結構包み隠さず出てくるんですが実際に行われていたというだけで怖さが倍増したし、冷静に考えりゃこの方法は拷問そのものだ、人としてやってはいけないことだってわかるはずなのに、その生き地獄のような捜査方法を選んでしまうCIAの余裕の無さにとてつもない狂気を感じた。

最近のアメリカのこういった「個人vs国家、国民」みたいな映画を見るたび大体「正義って何なんだ?」と考えさせられることが多い。ダークナイトのジョーカーのようなカリスマ的ヴィランがいるわけじゃない、ただ相手にしなきゃいけない人数が圧倒的大多数になるだけで「間違っているのは自分なのか?」と大体の作品では自分を疑うシーンがあったりする。でも今作のダン・ジョーンズさんは最近あまり見ない、一言でいうと「圧倒的主人公」。拷問は絶対に絶対にしてはならないことであり、そしてそれを隠したまま闇に葬ることでまた新たな火種を生んでしまうと信じ、自分の行動意義を決して疑わない。人が自分のもとを離れていったとしてもこの仕事は無駄ではないと信念を曲げない。こんな人が実際に存在していて、そうやって行動していたんだということがすごすぎる。

自分の、見たら「明日から頑張ろう!」と思える映画たちに新たに加えられました!
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