モモモ

街の上でのモモモのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
4.1
捻くれた負け犬のオタクなので「恋愛映画はハマらんだろうなぁ」と敬遠していたんですが、そんな自分を今は恥じています。
いやいや、大満足の1本でもっと早く観ておけばと後悔しました。
まさか「いけてない側の人間」を主人公にした映画だったとは。
人と話せない訳ではないけど距離感を掴めないタイプのコミュ障で、飲み会にも何となく断り辛いから行くけど馴染む事は出来ず、付き合いの長い人の前だと割と饒舌になる。特に「人に気が使える社交性の高い女性」に促される様に心を開き会話を楽しむ姿には「存在しない筈の記憶」を刺激されてしまいました。
物語がない様でキチンと「群像劇」としての快感を忘れていない脚本が最高だ。
主人公を主軸とした個々の物語と人物が収束していく後半の展開はコメディ映画として一級品だ。
「元鞘に戻る」まででエンドロールかと思いきや、物語はもう少しだけ続く。
メインヴィジュアルにいた女優陣の全てを誰一人取りこぼす事のないその蛇足が素晴らしい。
インディーズ出身監督だからこその「監督の不遜さ」描写は素晴らしいし、その上で映画作りと役者陣を肯定する姿勢も素晴らしい。
結局「主人公めちゃくちゃモテてねーか」なオチだと思うので、これは「ToLOVEる」と同じジャンルの創作物ですね。
冒頭での古着屋での「お前は二番手」という痴話喧嘩に対して主人公が見せる無言の「え?いいの?」がベストアクト。また今度観直そう。
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