Aki

街の上でのAkiのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
4.2
冒頭から明らかにおかしな様子の若葉竜也。

小さいコミュニティ、範囲で起きる出来事の会話メイン群像劇。
カメラも固定のアングルが多くてそのシチュエーションがそのままの空気感で切り取られている印象だった。


会話やシチュエーションがリアルで(自分は体験したことはないが、それでいて実際にありそうな)その自然さから生まれるオフビートな笑い。主人公が出会う場面場面のその絶妙な愉快さがキュートで良かった。

特に序盤の古着屋で告白するために服を選びにきた男女のシーンがなんとも言えない気まずさで笑える。


主人公は元彼女と別れた後に主に3人の女性と出会うが、その誰にも等しく新たに関係性を築けるかもしれない可能性がある(勝手に鑑賞側がそう観ているだけなのかもしれないが)あの感じ。それがなんともむず痒かったり、心地よかったり、居た堪れなかったりするあの感覚。


主人公は多分人のいいやつなのだろうと思うし、その点で(恋愛関係でないかもしれないが)ある種の好意を受けやすいタイプなのだろうか。イハの彼氏だと言い張ったシーンの後、画面外でも多分同様に振る舞い続けたのだろうなと思った。

元サヤに戻った理由もそこなのかもしれないし、最後のケーキのシーンの雰囲気の理由なのかもしれない。


誰かの映画に出演すること。それは誰かに選ばれることであって、選んだ側、選ばれた側と選ばれなかった側とにはその点で分かり合えない隔たりがある。
関脇がバーに訪れるのはしかし、やっぱり人間それだけじゃないよなって思える少しの優しさなのかも。

最後のイハの目線が印象的だった。


いい映画。成田凌はやっぱすごい。そんで若葉竜也すごく良い俳優だなと思った。
Aki

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