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シチリアを征服したクマ王国の物語のWNTのレビュー・感想・評価

3.5
クマの王レオンスが一人息子のトニオに魚取りを教えていると、トニオが水に攫われ行方不明になってしまう。
レオンスはトニオが行方不明になってから塞ぎ込み、クマたちは飢えて冬眠の準備もできないでいた。
人間の住む街には食べるものがあってもしかしたらそこにトニオもいるかもしれないというクマからの意見を聞き入れ、レオンスはクマたちを引き連れて街へ向かうが人間はクマが思っているような優しい心の持ち主ではなかった。

野蛮でしたたかな人間の王と強くて気高いクマの王がぶつかり合う。
魔法使いも出てきて可愛らしく不思議なファンタジーのような作品に仕上がっている。

クマは人間の世界で生きると息苦しく本来の姿を見失ってしまうこともある。
王にぴったりであっても両者のための王になることは難しく、やはり山で生きることがクマらしいのだと考えるようになる。

王になったことで地位や権力争いに巻き込まれ、いままで考えなくてもよかった無関心だったことに四六時中悩み、王とは何かを考えても答えは出ない。

陽気な音楽とお洒落なベタ塗りの絵、クマの愛くるしい性格が入り混じり独特の世界のアニメーション映画に仕上がっている。
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