激アツ。際限の効かなくなった本編さながら映画自らのバロメーターまでぶっ飛んだかのようにクライマックスが更新され続けるという無茶苦茶な豪快っぷり。「ありのままであれ」というなんら変哲のない分かりきった導入から始まって、そのメッセージすら置き去りにする勢いで話が進んでいくものだから少なからず物語に対する不安があったが、そんなことお構いなしに暴走していく不自然さというものに巻き込まれて気付いたらめちゃくちゃ泣いている。そんな中で一貫して冒頭のメッセージを引き継ぎつつ、チキンと化した元ベイビーの短いモラトリアム、父と息子のアンバランスな関係性、政治における権力とファシズムというものまで描こうとしていていちいち感動する要素が多いので目の前に広がる惨状のバカバカしさに呆れながらも泣くしかないという非常に疲れる映画体験。しかしそういうバカバカしさこそリアルを描くために必要なものなのだという気付きも得られる。「なにも考えたくない時に観てください」とむかし映画館でバイトしてた時の敬愛してた同僚に言われてまさに今日そんな感じだったからか彼女の言葉をふと思い出して数年越しに観てみたが、確かに10周ほど回ってそんな感じだった。いや全然めちゃくちゃ考えさせられるんだけど、地獄の上空でキラキラしてる"The End"の最高に平和な狂気は「何も考えない」のほんとの意味を体現してるようで、やけに美しく思えた。こういう映画ってとりあえずどどんと★5個つけたくなってしまう。こんな変な映画を教えてくれたかわしりさんにありがとう。元気でました。