伊達巻さんの映画レビュー・感想・評価

伊達巻

伊達巻

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.3

さっき観たパプリカの40倍くらい好き。チェコ映画かと思ってたらフランス語。ずっとドラーグ族の話で良かったと思うけどそうもいかないみたい。短尺なのに赤子の頃から始まる壮大な物語、まぁまぁ乱暴に育てられる>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

2.3

原作未読。夢でさえ小綺麗に仕立て上げられたフィクション程度にしか見えなくて期待してたほど面白くないというか全然よくない。いろんな作品のオリジナルになってるのは垣間見えるけどむしろそれ故に逆にオリジナル>>続きを読む

正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

3.7

なんか観れば観るほどどうでも良くなってくる気がするホンサンス。でもどうせまた今日みたいに理由もなく観たくなったりするんだろうな。正しかったあの時と、間違っている今、間違っていたあの時と、正しい今。違う>>続きを読む

サーカス(1928年製作の映画)

4.0

むしろこっちの方がモダンタイムス感あるなとか適当なことを考えた、ふたりで歩くのもいいけどひとりで歩いているチャップリンが好きだ。妄想シーンとか王道の元祖みたいなことを完璧にやってのけていて、ほとんど一>>続きを読む

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

3.5

がっつり社会派映画のようでいてここでさえチャップリンが描くのはやっぱり人情喜劇であってそういう意味では皮肉も和らいでいる気がしちゃって勝手に期待してた毒っ気とかは良くも悪くもそんなになかったあとこれ代>>続きを読む

チャップリンの給料日(1922年製作の映画)

4.0

レンガのとこ良すぎて泣けてくる。チャップリンの映画は劇伴も素晴らしくって毎回こうなる。そうはならんやろのツッコミさえ野暮に感じられるほど完成されたコントは、なんというか笑いの芸術ってこういうことかと思>>続きを読む

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

4.2

みんなが楽しげに踊ってるのを輪の外で眺めるチャップリンの後ろ姿の言いようもない切なさよ。パンのシーンしかり思わず見惚れる見事なショットの数々に何回も泣かされそうになる。孤独な視点を保ったまま人を笑わせ>>続きを読む

ベルリン、60分の愛人(2021年製作の映画)

4.5

女であることの流刑
人は女らしさと呼ぶ
私の知る家族は彼らのそれとは違う
私の詠む詩は彼らのそれとは違う
彼らがするセックスは存在していない
繰り返し死ねと言われれば恨んで死ぬか生きるかだ

根を張り
>>続きを読む

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

3.9

真っ当な面白さ。自由とは闘って勝ち取るものだとの熱い言葉に溝口の山椒太夫を思い出したりする。前半はナチスへの怒りと不満が焦点に当たっているかと思いきや、後半になるにつれてとある「裏切り者」を取り巻く巧>>続きを読む

メゾン ある娼館の記憶(2011年製作の映画)

4.3

金持ちに見物されるマドレーヌがやがて囲まれるところでそれまで言葉で整理しようとしていた感情が一気に跡形もないくらいに潰されてしまってどうしようもなかった。死んだように白くなった頬につたる涙の生ぬるさ。>>続きを読む

ローラ(1981年製作の映画)

4.0

愛の話でありながらそれ以上に経済と人間の話、何も知らないはずのマリーヒェンが素朴に尋ねた疑問がたぶん物語の核心を突いている。最近のバルバラ・スゴヴァしかちゃんと見たことなかったから後で気付いてこの人は>>続きを読む

ありがとう、トニ・エルドマン(2016年製作の映画)

4.7

人間に必要な映画ってこういうのだと思う。仕事と時間の怖さとか、近しい人やそうじゃない人との関係の気まずさとか、上手くやりきれない不器用さとか。ちょっと具合が悪くなるくらいリアルで、しかも終わりが見えな>>続きを読む

第三の男(1949年製作の映画)

3.8

かっけー映画だった飽きそうな話なんだけど魅せ方うまくてなんか飽きない下水道から最後にかけてはかなり良かったまなざし交わすところでグッときた

クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代(2018年製作の映画)

2.0

単位のためだけに履修した授業とかよりも全然つまんなくて耐えきれず途中から1.6倍速にしたらギリちょうどよかったすみませんシュニッツラーの「人間は混沌の中に秩序を求めたがるけどまさにその秩序こそ混沌なの>>続きを読む

ヴィクトリア(2015年製作の映画)

5.0

パーフェクトとしか言いようがない…月とスッポンがびっくりするくらいレベルが違うが、テンションだけ見ればドイツに着いてからの俺の一ヶ月ってまさにこんな感じだったかもしれんと思う。知らない街で、知らないこ>>続きを読む

ローマでアモーレ(2012年製作の映画)

4.5

おもろすぎ久々に腹抱えて笑った最後までふざけ倒しといてこの質感出せるのまじでウディくらいじゃないかと思う画もそれとなく完璧で最高、超楽しかったシャワーオペラどうしてもおもろい切実に日本語字幕でもっかい>>続きを読む

25km/h(原題)(2018年製作の映画)

3.7

悲しみの乗り越えかた。思い出しきれないくらい色んな場所に行って色んな人に出会って色んなことを経験する。全然違う生き方をしてきた兄弟ふたりの喧嘩と告白。ガキの頃に計画した冒険を時速25kmで叶えて並んで>>続きを読む

崖の上のポニョ(2008年製作の映画)

4.0

長年見返したいと思い続けてやっと、そうすけより少し年上くらいの時に映画館で父さんと観た記憶。たぶんはじめて最後まで観た映画だったと思う。この映画に影響されて親を名前で呼ぶなんてことはなかったんだけど今>>続きを読む

イカとクジラ(2005年製作の映画)

4.6

あのときは怯えながら小さな指の隙間から見た、イカとクジラの大激闘。いま起こっている出来事はあまりに目の前すぎて見ないふりもできない。しっかりしていてもまだこどもなウォルトが、まんま昔の自分の姿と重なる>>続きを読む

電線に止まった小鳥のように(1975年製作の映画)

3.7

何かが足りないわぁ、それは男や!過去の恋愛を語ってるところらへんまではノスタルジックな気分かと思いきや終いにはド派手な筋肉ショーに移り変わる。何言ってるかほぼ分からんかったし分かったところで意味わかん>>続きを読む

女王さまはお若い(1954年製作の映画)

4.3

えめっちゃ良かった1 Markもされてないのが信じられんくらい良かったドイツのネトフリだとタイトルがsussi:the story of vickieって出てて謎、監督は同じだけどsussiとは違う映>>続きを読む

都会の放浪者(1966年製作の映画)

5.0

小汚いスーツ姿の男がベンチの隅で眠りから覚めて気怠そうに余った酒を手に取り乾いた喉に流し込む。たった10分の間に完璧なショットが多すぎる。それでいて気取った嫌らしさとかまるでなくてこの頃からどんだけ天>>続きを読む

二重性活 女子大生の秘密レポート(2016年製作の映画)

4.8

なにがどうしてこんな邦題つけちゃうのかあまりに酷すぎて殺意も殺意で戸惑うわ、めちゃ良い映画で2日連続で観ちゃった、サントラで聴くほど好きな音楽ではないんだけど話には超マッチしてて最高だった、演出とかあ>>続きを読む

コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)

3.8

ベルリンに行きたくなくなったけど、結局もっと行きたくもなった、どんな街だろうなぁ、大学生活を終えちゃってフラフラして、何してもどこへ行っても報われない感じで、なんだかなぁって思うけどなんにもできないし>>続きを読む

少年には楽しい夏休みと新鮮な空気が必要だ(2018年製作の映画)

4.2

Das alles ist es, was ich bin. ぜんぶが僕なんだ。長い年月を経て昔を思い出すまでに至ったハンス氏の記憶そのもの、懐かしき愛そのものとしての映画。ふと振り返って見上げた空の>>続きを読む

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

4.5

感想がまとまらず2回観た、台詞は半分も理解できてないだろうけどこの映画のぜんぶを受け取った気ではいる、それくらい伝わってくるものがある、カメラは時々ベニの視点そのものになって景色を眺める、風に揺らぐ木>>続きを読む

ビタースウィート(2002年製作の映画)

4.1

Du brauchst nicht immer für alles eine Lösung zu finden…manchmal ist eben alles scheiße und man trot>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

-

苦しくなってアマプラレンタルでゴダールを観る、なんか余計に苦しくなった気がしないでもないけど覚悟はしてたからダメージは少ない、今までのゴダールの映画でわからんって言ったこと全部取り消したくなるくらいわ>>続きを読む

ラン・ローラ・ラン(1998年製作の映画)

5.0

I wish I was a stranger
Who wanders down the sky
I wish I was a starship
In silence flying by
I wis
>>続きを読む

ピッチ・パーフェクト(2012年製作の映画)

4.0

それこそもう中学生くらいのときアナケンドリックがレストランで歌うMVがめちゃくちゃ好きで数え切れないほど繰り返して観てたの思い出したねそして今ほとんど10年ぶり(!?)に見返して普通に泣いた、歌も映像>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.0

ドイッチュランドにて。公開初週の金曜なのに全然入ってなくてこっちもそんなもんか〜と思う。もうずっと前から死ぬほど楽しみだったけど終始結構あっさり終わってしまった英語字幕なしで言葉が半分も理解できてない>>続きを読む

トロールズ ミュージック★パワー(2020年製作の映画)

5.0

完璧じゃない?超おもしろかった!すっごい薄い感想だけど音楽ってほんと最高だよなぁ、ロックもカントリーもエレクトロもポップもクラシックもみんなこんなに違うのに全部音楽、音楽を守ること、音楽を失うこと、そ>>続きを読む

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.0

永遠に変わらないものなんてない、そうだよなぁ。この言葉いまの自分にすごく沁みてくる…。ちょっと教科書っぽい感じが否めないなぁと思いながら観ていたが後半おっ魂消の激アツ展開にめちゃくちゃ泣いちゃう。あら>>続きを読む

憎しみ(1995年製作の映画)

5.0

バカ完璧、めちゃくちゃ面白いし死ぬほどスタイリッシュ、それでいて最後はズシンと撃たれる。分かっていたつもりなのに本当に分かってしまったときの間抜けな衝撃と恐怖、真の問題は落下ではなく着地なのだ。社会っ>>続きを読む

天使の復讐(1981年製作の映画)

3.9

路上でレイプされて消沈して家に帰ってきたらまた他の奴にレイプされるっていう地獄話、なんの冗談も効かない展開にしんどくなって当分ショックを引き摺ることになるんだけどその後の主人公の決意っぷりが凄まじくて>>続きを読む

午後の網目(1943年製作の映画)

5.0

わたしが視るもの。あなたが視ないもの。赤い舌の上の鍵は白いシーツの上のナイフ、眠くて目を閉じる疲れた午後の網目。初めてサイレントで観た。静寂で観てこそ最も美しい映画だと思った。こんな映画をいつか撮りた>>続きを読む