風来坊

ハード・ナイトの風来坊のレビュー・感想・評価

ハード・ナイト(2019年製作の映画)
3.5
深夜の遺体安置所に武装した男3人が押し入り、検死官達を脅しある要求をする。従うふりをして機転を効かせた検死官だったが、武装犯を起こらせる事に…。中国製のサスペンスアクション。

単純明快なアクション映画を得意としていて私は好きな監督の1人なのですが、成績にムラが多くハリウッドからはめっきり声が掛からなくなったのを中国映画界に拾われた感のあるレニー・ハーリン監督。いい加減「カットスロートアイランド」の大爆死の件はもう忘れてあげて(笑)

主演はニック・チョンさん、個人的には「ビーストストーカー」での怪演の印象が強い。あの頃とあんまり変わっていないのはスゴい。本作での役名がニック・チャンなのは狙いなのかな(笑)

レニー・ハーリン監督の映画なので細かい事を言い出したらキリがないです。主人公は凄腕の検死官の設定ですが、その割には他の遺体から証拠品を拝借しちゃったり遺体を粗末に扱ったりと職業意識に欠けます。

戦いの素人が強者に打ち勝つという事を強調したいのでしょうが、主人公がいきがる割にはめっちゃ弱いので見ていて痛々しい…。
検死官なのでそりゃ強くちゃダメなんですけど。ただ格闘は強くないけどめっちゃしぶとい…痛みを感じない身体かな(笑)

堂々巡りというか牛歩戦術というか元々シンプルな話を無理矢理引き伸ばしていると感がありわずらわしいですね。
武装犯もどうせ強行に打ってでるなら、もっと早くやればいいのにという違和感。

ハーリン監督と中国の映画の演出が融合した車吹っ飛んでクルクルは面白い。良さでもあるんですけど忙しい場面展開はちょっと疲れます。どの視点をメインに描くかを決めてもよかったような…。
退路も決まってないのにあの行動はないな…派手に爆発させたかっただけの強引感。

主人公のよりも助手さんの方が頑張っていました。この助手さんの役の女優さんがなかなか可愛い。音楽ガンガンで気づかないとかこの手の映画の古臭いお約束もあって面白い。
段々と立場が逆転していく展開も良い。

死体安置所や検死官設定を活かしたならではの展開がもっとあればもっと面白くなっていたと思うのでそこは残念。
中盤迄はダルさを感じましたが、反撃が始まればスリリングな追いかけっこでテンションが上がりました。

同監督の「マインドハンター」にちょっと似ていて狭い範囲の設定で広くスリリングに見せる手腕は流石。
登場人物は少なく爆発シーンはチープなCGと低予算が伺い知れる。
小品の域は出ないもののハーリン監督のお約束演出もあってファンの私はなかなか楽しめるました。

しかし、古臭い演出と展開と言ってしまえばそれまでなので低評価も仕方ないですね。
レニー・ハーリン監督に優しさがある人向けの作品です。
ジャケットの謳い文句のラスト5分の何ちゃらには期待しない方がいいです(笑)

まとめの一言
「助手さん大暴れ」
風来坊

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