akina

アフター・ヤンのakinaのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
4.0
映像、音楽、ストーリー、どこをとっても美しかった。

"テクノ"と呼ばれる人型ロボットが、一般家庭に普及している未来の世界。
テクノのヤンが突然動かなくなってしまったことで、彼にメモリバンクという数秒間の膨大な映像が残っていることを発見した家族。ヤンが見つめた記憶/記録によって見えてくる家族の絆…

家や家の装飾、服装などのボーダーレスな民族性。
(ちなみに、フレーム内に自然を取り入れる手法は宮崎駿監督の影響だそうだ)
ロボット、携帯ではない通話、車でもない移動手段などの未来的な時代感。
自然光や、鏡、窓などのモチーフの美しさと侘び寂び。
映像から受ける世界観がとにかくスタイリッシュで繊細でそして美しかった。

"ヤン"が中国人、アジア人であることを意識し、"妹"ミカに文化的な価値を伝えようとしながら愛を注いでいたこと、
"テクノ"だからこそ、家族それぞれとの個人的な会話がされ、その家族の為に存在していることに満足していたこと、
"ヤン"という存在が、とてつもなく人間的で、それがまた美しく思えた。

かつて、「リリィ・シュシュのすべて」で歌われた『グライド』が印象的な曲としてリアレンジされ登場する。陰鬱とした空気感なのにどこか一筋の光が感じれられるこの曲も、作品の世界観にしっくりきていたと思う。


"ヤン"を演じた、ジャスティン H. ミン、"アンブレラアカデミー"から好きだけどもっと好きになった。
そして、個人的には兄がずっと欲しかった幼少期を思い出したり、憧れていた家族の絆とかに弱くて、作品の美しさも含めて半分くらい泣いてました。
akina

akina