ふかい

アフター・ヤンのふかいのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
4.2
断片的に過去の記憶が挿入される(視点を変えながら同じセリフが繰り返される)のはヴィルヌーヴの「メッセージ」ぽい。
「コロンバス」ほどキメキメな構図は少なく、基本は引きの固定カメラで穏やかな流れを作り出している。ただヴァーチャル映像同士で会話するシーンは抑えきれない小津への愛情が溢れている。
「her」のホアキンフェニックスのような表情が連想されるコリンファースの演技はひたすら抑えめ。人間性と機械性を行き来するようなヤンの表情も素晴らしい。
他の記憶世界を圧縮するような濃いヤンの原始体験を数分で見せてしまう終盤の展開に唸らされ、ヘイリー・ルー・リチャードソンの存在理由が初めて明かされる時に感涙。「アジア人とは何か」について一生かけて考えていく、というコゴナダの使命のようなものが示されたような気も。
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