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アフター・ヤンのロアーのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
3.8
私はA24の中でも不穏なタイプの映画が好きなんだけど、今作ははじんわり染み入る優しいまなざしをした哲学タイプの作品でした。突然のダンバトに「えっ・・・???」と困惑させる唐突さはA24作品らしかったけど。でもあのダンバトのシーン、もっと観ていたかったな。

舞台は近未来。白人の夫、黒人の妻、アジア系の娘という多様性を絵に描いたような家族の中にいる中国系の容姿をしたロボットのヤン。《4人家族》として毎週ダンバトに挑み、家族の一員として家族写真におさまるヤン―――そんなヤンが突然動かなくなってしまった。
ヤンに記録されたデータ・・・ヤンの記憶が泣きたくなるほど優しい光をしていたのが印象的でした。

人と変わらない姿、人と変わらない思考を持つAIロボットやクローンが存在する世界において、人間とは何なのか・・・そもそも人間であること自体、特別なことなのか。”命あるものすべてが尊い”という考え方もあるけど、そもそも何をもって命があると考えるのか・・・

新しい価値観で不変のテーマを描いた珍しいタイプのSF。温かくて優しい不思議な余韻の残る映画でした。

MEMO---
・ダンバトの他のチームも一見どんな関係性かわからないような4人家族だった
・ヤンの記憶を見た時「ウルトロン」のJ.A.R.V.I.S.みたいなあったかい光してるやん・・・って泣いたマーベル脳。
・あの乗り物、後ろのところが芝生みたいになってなかった?草が生えてたよね
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