ベビーパウダー山崎

アフター・ヤンのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
2.5
リモート通話を正面からとらえる切り返しショット、そういえばコゴナダの前作でも小津を模していたのを思い出した。心の揺れを手持ちキャメラであらわす、どこか雰囲気は初期の岩井俊二。坂本教授の音楽が流れてくると、その孤独と静かな芝居ふくめて市川準『トニー滝谷』が強烈に蘇ってくる。
核心はボヤかし周辺をイメージで語る、アジア思想とアイデンティティの問題。日本映画が大好きな外国人が、アメリカの土壌で日本映画(今では失われたあの頃)の「クローン」を創造したような作品。冒頭のダンスは田舎臭くて見ていられない。森のなかを歩く(終盤の)横移動撮影は良かった。コリン・ファレル、現代的で作家性の強い映画を選んで出演しているから、当たり外れはあるにしろ追いかけていかなければならない役者の一人。