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ハルカの陶のryotaのネタバレレビュー・内容・結末

ハルカの陶(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

とんでもなくピュアな映画でこういう作品大好きです。まぁ嫌いな人は嫌いかもしれませんが、僕は絶対的に支持します。何かに一生懸命になる人っていうのはやっぱり素敵じゃないですか。何かを達成するには、当然ながらすごい時間と努力が必要なわけですが、その一瞬一瞬を描いている作品はやっぱりどうしたって好きです。

ぱっとしなかったOLが、ふとしたことから備前焼にはまって陶芸家に弟子入りする話です。その導入とか、押し掛けていきなり弟子になるところあたりはさすがに強引な感じがしますが、ただよくよく考えると最初のきっかけなんてそんなに大そうなものなわけもなく、むしろ飛び込んでからの葛藤の方がとてつもないドラマがあるわけで、その辺を淡々とお話を進めていくところがとても好感が持てました。そう、この作品はコメディーでは全くなくて、本当にどシリアスな陶芸映画です。よそ者としてなかなか馴染めないでいる主人公も徐々に打ち解け始め、クライマックスの釜炊きのシーンはなかなかの迫力でかつ美しい。全体を通すとさほど大きなドラマは無いものの、そこにはしっかりとした人間が存在している感じがして、やっぱり素敵な映画だなと思わざるを得ません。

奈緒が初主演作品と言う事ですが、今ではとんでもない演技派女優である彼女が一生懸命演じている姿がとても好感が持てます。こういうのって女性には嫌われるのかしら?でも僕は単純に頑張っている姿はいいなと思ったりしちゃいました。笹野高史さんはさすがの存在感。とんでもなくぶっきらぼうで嫌な上司がいたとしても、あんなに一生懸命になれるのってやっぱり備前焼が大好きだったからなのだろうか。普通だったら逃げ出すと思うけど。だからそもそも好きなことをやるって言うことは、どんなことでも跳ね返すってことなんでしょう。そして気がつけばその道の人になっているわけで。まぁとにもかくにもとんでもなく純粋で綺麗で、一生懸命で素敵な映画。気に入りました。エンターテイメント作品ではなくて、小粒で爽やかな言ってみれば青春映画です。色恋沙汰は全くありませんが、観た後爽やかな感動が得られると言うのはすごくいい。
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