りょう

355のりょうのレビュー・感想・評価

355(2022年製作の映画)
3.0
 個人的にジェシカ・チャステインが苦手で、「インターステラー」以外で好印象の役柄がありません。この作品のメイスもアクションやキャラクターが中途半端で感情移入できませんでした。
 ただ、彼女1人が主役というわけでもなく、5人の女性には魅力的なキャラもいて救われました。BNDのマリーは、一匹狼の暴力っぷりと精悍な顔立ちがよかったし、DNIのグラシーは、カウンセラー以外のスキルがないというまさかの設定で、そのオロオロぶりがいいアクセントになっていました(指紋認証のために同行させられたのに、彼女のスマホは登場せず…)。この2人を演じたダイアン・クルーガーとペネロペ・クルスがいなければ、ちょっと作品としては耐えられないレベルでした。
 各国の諜報機関の女性エージェントがひょんなことからチームを結成するという物語には魅力がありましたが、その設定が脚本や演出にうまく反映できていない印象です。序盤のシーン以外では、それぞれの組織の利害で衝突することもなく、純粋な仲良し5人組のままミッションをこなしていくだけです。そもそもあのデバイスが世界規模のテロにつながりかねないのに、どの諜報機関も本体を出動させてこないし、大規模な破壊と大量の殺傷を伴う彼女たちの非公式な活動が野放しになっていることも不自然でした。
 女性の活躍を描く作品は歓迎しますが、善玉の女性が悪玉の男性をやっつけるという構造が単調すぎて、ほとんど物語に深みがありません。序盤にメイスとマリーが敵対する展開になりますが、何ならずっとそのままがよかったし、ファン・ビンビンの登場シーンでは、「黒幕にも女性キャラが?」となりましたが、その期待もあっけなく裏切られ…。
 カット割りの多いアクションシーンにも没入できず、この作品とは全然関係ありませんが、あらためてシャーリーズ・セロンってすごいなと思わされました。
りょう

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