菩薩

一寸先は闇の菩薩のレビュー・感想・評価

一寸先は闇(1971年製作の映画)
3.6
なんか地味な映画だなぁと思っていたが、ラスト30分でだいぶ盛り返して来たし、最後幾らでも「意見には個人差があります」のなまさだ方式でぶん投げて来たから、お前の映画こそ行間があり過ぎなんだよ…とちょっとムカっとした。とりあえず以下↓

1、シャルルのローラに対する「殺意」の有無。人を絞殺する場合、おそらく明確な殺意が無ければ途中で無意識に手を緩めてしまうと思う。首絞めプレイの一環としてなら尚更、意識が落ちてからも絞め続けなければ多分人は殺せない。となると…?

2、エレーヌとフランソワの関係。二人も不倫関係にあったのではないか?とどうしても下衆い俺としては勘ぐってしまう。二人の受け入れ方がどうしても怪しい…だとしたら二人にとっての邪魔者は排除された事となる。

3、あの「アヘンチンキ」は本当に致死量なのか、そもそもあの薬はアヘンチンキなのか?シャルルがひたすら煽っていたウイスキーの様に茶色に染まった液体、本人に自殺の意思が無ければ「濃くない?」と突き返すのでは?先週の『野獣死すべし』を観ていると、余計に中身を更なる劇薬に入れ替えているのではないか?と思ってしまうし、そもそもエレーヌはシャルルを殺そうとした…?(ここでも「殺意」の有無が問題となる。)

などなど、頭の中にいろんな「?」が浮かんで困ってしまう。真っ直ぐに取れば解説にもあった様にブルジョワの自己保存精神とそれに対する批判の作品に思えるが、このテーマの主題は「罪」そのものだろうし、「罪人」に対して石を投げられるのは罪無き者だけだとしたら誰も人を裁けなくなる→人は人を裁けないとの作品にも思える。シャブロルの不遇を鑑みれば批評家批判の作品なんて解釈も出来ようか、結局のところ一番言いたいのは「くたばりやがれ」って事なんじゃないかな、知らんけど。良心って何かね…正義って…。
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