実際の子供番組のキャラクターがショーの最中に暴走してモンスターと化し人間を次々と殺戮していくというアイデアは興味深かったけれど、肝心のスパイスが物足りなくて薄味な印象に。最初はギアをローにして異変を徐々に積み重ねて一気にトップギアに入れる語り口や殺される人たちの死に方がいちいち工夫されていたりと殺戮系ホラーのポイントを押さえた演出はファンとしては楽しいけれどそこから飛び出していくような破壊的な面白さが無いのよ。
ハーリー君の友達(本当はちょっと違うけれど)のゾーイがいい奴、キャラクターショーに興味はないけど付いてきてしまった設定もほどよいユーモアを醸し出している。そしてハーリーの母親がみさえなみにパワフルで暴走したキャラクターと互角に戦う。
子供番組のスタッフや役者の様子などの裏側を克明に描いた作風がいい具合の毒になっている、子供は可愛いけれど彼らを仕事相手にしなければいけないしそうなると媚びなければならないという世知辛さ。
劇中で散りばめられた伏線が生かされオチへと繋がっていくラストは見事、女性が男性のわがままに「もう無理」と拒絶され家族という枠から脱落する結末も。そして感染した狂気が暴走するラストシーンは最近見た『ザ・マニア 快感生体実験』のラストとダブって見えた。
