おどろきの白鳥

きっと、またあえるのおどろきの白鳥のネタバレレビュー・内容・結末

きっと、またあえる(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

単体で観ると、よい作品。
ただ、先行する作品群からすると、二番煎じ感が拭えない。
本作監督自身の大学時代のエピソードなども盛り込んだ、と宣伝文句にはあったが、『スタンドバイミー』(1987)、『きっと、うまくいく』(2009)、『ヒンディー・ミディアム』(2017)など、複数の映画からネタを引っ張ったような印象の仕上がり。

この十数年存在するインドの社会問題なので、パクったというわけではなく、普遍的なテーマゆえにネタが被ったとみるほうがいいとは思うが。

エリートの父・アニから期待を受けながらも、受験に失敗して自殺を図った息子。
生きようとする意思が希薄になって弱っていく息子に、アニは自分の学生時代の負け犬だった昔話をする。
そして、昔話に出てきたアニの仲間たちが、一人一人病院に集まり、親子を励ましていく……

といった展開で、学歴偏重な受験社会と、仕事を言い訳に家庭を振り返らないで子どもにプレッシャーしか与えない親や世の中を痛烈に批判。
「決して世の中、結果で勝ち組・負け犬に別れるんじゃなく、生きて努力することが大切だ」と諭すような説教混じりの若者への応援でもあった。

しみじみとしてしまうのは、本作が若い頃の主人公を演じるスシャント・シン・ラージプートの遺作であること。
この「命」と「努力」の大切さを説いた映画に主演しながら、首を吊って自ら命を絶ったのが惜しい。
作品から学んで欲しかった。