すずや

WAVES/ウェイブスのすずやのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
-
勝手におしゃれ系恋愛映画だと思ってずっと敬遠してたのだけど、木津毅さんのエッセイを読んで気になって見てみたらものすごく良くできたマスキュリニティについての映画だった。面白かった~!

男らしさの呪いと父子関係がこの映画の軸だと思う。
特に前半部のタイラーのパートにすごく引きこまれた。どんなにキラキラした人生を送っていようと、父からの「ちゃんとやれ」「男らしく居ろ」という言葉に嫌気が差していようと、彼は弱音の吐き方を知らない。それが転じてさらに弱い立場のガールフレンドに対する暴力性として発露する描写の巧さには唸った。
後半部のルークは最初あんまりよくわからなかったんだけど、(「ルーカス・ヘッジズを使ってるのになんでもない役なわけがない」と思っていたのもあって)よくよく見てみるとタイラーの対極にいるキャラクターだと分かる。彼は自分を言葉で表現することもためらわないし、エムの前で涙も流す。それが果たして父のそばにいなかったせいなのかもわからないけれど…

この映画のマスキュリニティの呪いに対する対処は「言葉にすることを恐れないこと」なのかな、と思ったり…ともかくすごく考え甲斐のあるすごく面白い映画でした!
すずや

すずや