カフェオレ

WAVES/ウェイブスのカフェオレのネタバレレビュー・内容・結末

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

冒頭ド頭からAnimal Collectiveの"FloriDada"をかけて彼女とドライブするシーンの爽快感や高揚感、縦横無尽にグルグル回る映像に心を持っていかれた。

美人の彼女がいる、豪邸に住んでいる、運動神経良し、ピアノの腕前良し、というあまりにも理想的すぎる人生からドン底まで転落する主人公タイラーと、それを受けて家族がそれぞれの問題を見つめ直し立ち直っていく物語。

登場人物の精神状態や置かれている状況を人気アーティストの楽曲で表現していて(なくても十分表現できているんだけど)、それらが流れるタイミングや選曲チョイス、映像との調和が素晴らしすぎるし、それにより時に爽快に、時により鬱屈に映る。

前半は兄タイラーが転落するまでを描いていて想像よりヘビーでショッキングな内容だったが、妹エミリーをメインに家族が立ち直るまでを描いた後半部分は、エミリーたちと一緒に観客の気分も浄化し回復させるセラピー的役割も果たしていると思う。

無償の愛を注ぎ注がれる関係のコミュニティーである「家族」の在り方や、若者の無敵感と脆さ(+音楽の持つエネルギー)を表現した素晴らしい作品だった。